フッカー

永遠の僕たちのフッカーのレビュー・感想・評価

永遠の僕たち(2011年製作の映画)
4.1
愛のこもったキス

美しかった。
OPからすぐに引き込まれた。
死体の振りをしたり、知らない人の葬式に出席するイーノック

何故彼はこんなに死を求めるのだろう?死に近いところに行くのだろう?
そんな思いが頭を過った。
そしてある葬式で出会った少女アナベル。
葬式ごっこをする彼に笑顔で話しかける。

不思議だなあ。普通は怒って当然。
この時点で二人は死に関して特別な感じ方をしていることが分かる。

そうしてすぐに明らかになるのはアナベルが余命3ヶ月ということ。
それを全く感じさせない明るく天真爛漫な彼女の振る舞いに、自分も心惹かれた。

イーノックもその事実を知り、尻込みするのではなく、ごく自然に受けとめる。
不思議ながらも穏やかで温かい空気の流れる二人。

死を扱うテーマながらも、二人の会話は死を軽やかにユーモアとして使う。
飛び交う冗談と笑顔。
実際言葉遣いが面白く結構笑った(*´ω`*)

静かな音楽と共に、自分までも笑顔になるやり取りを見せる二人。
そんな二人だからこそ安置室でアナベルが見せた真剣な表情には、心に少し迫るものがあった。

やっぱりアナベルも死に対して恐怖は抱いてるし闘ってるんだと。
でも今作ではこの死に対する恐怖の描写は少な目。それ以外の心のやり取りが多いため、作品を彩る空気は明るく優しいものという印象が強い。

不思議なのはイーノックが、何故ここまで死に自然に触れられているかということ。
実はこれには理由があって........彼は死を自然に受け止められてはいなかった。
彼の中でしこりのように残る思い。
だからこそ彼が見えていたヒロシという幽霊
続けていた葬式ごっこ。


この二人が作り上げていく愛はとても純粋で綺麗なものになっていく。
特に二人がするキスは、凄く優しさに溢れていて気持ちがこもっていて、思わず彼らを抱き締めたくなる。

この二人が織り成すラストに、イーノックの表情に、自分は感じるものがあった。

死の恐怖と闘ういうより、死をそれとして受け入れることがメインのように感じるため、好みは分かれるかも。

神風特攻隊の幽霊ヒロシというファンタジー的な不思議さと、温かさに溢れた作品。
好きだなあ(*´ω`*)