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永遠の僕たちのpikaのレビュー・感想・評価

永遠の僕たち(2011年製作の映画)
3.5
優しい映画!エンディングがとても良い!

作られ尽くされたようなベッタベタなお涙頂戴感動ロマンスな話だけど何年も何十年も死をテーマに映画を作り続けてきたガス・ヴァン・サントは一味違うぜ!と言うように、泣かせる話のようでいてちょいと趣が違う。
それぞれの形で死に向き合った三人の人物を通して描かれる「死を受け入れる」話なのかとか色々考えたけど結局シンプルに「死者を敬え」ってことなのか。
死を体感し、最も身近な両親を失った主人公は死をわかっているようで一番わかっておらず、冒涜に近いものをしていたが、出会いによってそんな自分に気づき成長したっつーシンプル且つ直接的なものかもしれない。だから礼を慎み、自身の死をお国のためと昇華せざるを得なかった日本兵というアイコンを使ったのか。
死にゆく者が自身の死を受け入れるという想いと、愛する者が死に向かうという抗い難い現実を受け入れる覚悟の狭間で死の本質を見つめ、喪失への恐怖などの自分勝手な思いを相手にぶつけるのではなく相手を敬い思いやる、というものの中に生の本質さえ含まれているのではないか。

自分で脚本を書かない時はインディーズ系に走らず脚本に則って非常に見やすく作っているがベースがベースだけに小綺麗な雰囲気は健在で、美少年好きっつー好みも合わさって美麗なシャレオツ映画になってる。
死というテーマの難しさに反してシャレオツな雰囲気とラフな演出で引っ張っていくところが鼻につきそうで嫌味がないのはガス・ヴァン・サントだからだろうか、むしろわざとオシャレな映画にすることによって、死というものに対してピンときていないような若者たちが見やすいよう、響きやすいようにとメッセージを送っているのかも。
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