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永遠の僕たちのsymaxのレビュー・感想・評価

永遠の僕たち(2011年製作の映画)
3.6
イーノックは、仕方がないんだけど、ちゃんと両親に別れを告げる事が出来なかった事がずっと引っ掛かっていて、虚無感しか無く、他人の葬儀に参加する事で埋め合わせている様で…

そこで出会ったアナベルは、余命3ヶ月と宣告されていますが、2人の出会いから、愛し合い、そして別れるまでの短く悲しいながら、美しい日常を丁寧に綴る事によって、イーノックは生きる事の意味を知っていくような気がします。

ガス・ヴァン・サントは、こう言った多感な少年少女の心の機微を描くのが本当に上手いです。

決して必要以上に湿っぽくならず、かと言って、ドライ過ぎず、微妙な「心の揺れ」が作品全体を覆っているようです。

また、イーノックの心の友である特攻隊員の幽霊ヒロシの存在が2人の物語を現実なのか、夢なのか曖昧にする不思議な雰囲気を作り出しています。

ヒロシを演じた加瀬亮は、突飛な役ですが、スムーズに作品に溶け込んでいて、素晴らしいです。私には「アウトレイジ」のセコいイメージが強かったので…

ヒロシも現世に未練というか、ちゃんと別れを告げる事が出来ていなかったのでしょうか?
でも、イーノックとアナベルの関係を側で見て、ヒロシも悟ったのだと思います。

"死は容易く、愛は辛い"ヒロシの手紙の意味は美しく、重いです。

ラストのイーノックの笑顔が見終わった後もずっと心に残る良い作品でした。

イーノックを演じたヘンリー・ホッパーは、デニス・ホッパーの息子さんですが、やはり親子ですねー、凄いそっくり。

外野から色々聞いて、ちょっと問題児。
そんなとこも似てますが、もっと映画に出て欲しいのに、もったいないかな?
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