滝和也

引き裂かれたカーテンの滝和也のレビュー・感想・評価

引き裂かれたカーテン(1966年製作の映画)
3.4
まさか、あの人が
キーマンになるとは…(笑)

ポール・ニューマン、
ジュリー・アンドリュース
と言う華やかな二人を
主演に迎えたヒッチコック
晩年のスパイ作品…。

「引き裂かれたカーテン」

ハスラー2作に続いてポール・ニューマン主演作をレビュー(^^)。

とは言え…こちらヒッチコック作品ではイマイチの評価なんですよね(T_T) 確かに今ひとつかなと思います。

東西冷戦期、対核ミサイル防衛兵器ガンマ5の開発者マイケル(ポール・ニューマン)は失意の中にあった。計画中止にあたり、彼は核廃絶のため、東ドイツに亡命せんとする。計画はうまく行ったかに見えたが、協力者であり、婚約者のサラ(ジュリー・アンドリュース)が着いてきてしまう。強硬にサラを返そうとするマイケルの真意は如何に…。

東西冷戦を舞台としたスパイものは007を始め(敵はスペクターですが)この時期流行りであり、それならとヒッチが作成した訳ですが…イマイチ盛り上がりにかけてます。脚本、構成共に穴がある感じなんですね。

前半は本格スパイものの体を成していて、サラをメインに見ると得意の巻き込まれ型のサスペンスで進むのですが、マイケルの真意がわかる辺りからはほぼ逃走劇へと変わり、その逃走劇も本格スパイもののリアル・ハードさに欠けてしまい、ヒロインはやや空気になりますからね。真意や主筋が解るのが早過ぎるのかもしれません。逃走劇も無駄かなと思えるシークエンスもあり(ポーランド人貴族さまとか)ややテンポにブレーキがかかりますし。

ただ、ヒッチコック特有のサスペンスやユーモアの演出は健在です。たったバス2台が走るだけでドキドキさせてくれますから(笑)またユーモアに関しても、冒頭書いたようにサスペンスのキーをあの方にして、その伏線回収をココに持ってきますかと笑いました(^^) 私は好きなんですが、ある意味これが盛り上がりに欠ける原因かもしれませんが(笑) 

ポール・ニューマンはあくまで素人の博士役なので、行動はヒーローなんですが、今一杜撰な役。またジュリー・アンドリュースは前半はヒッチのヒロインらしいんですが、後半は空気に。当時売り出し中、スターになっていた二人には余り得になってないと感じます。ニューマンはやはり反骨心のあるクールな役が似合いますし、ジュリーに至っては、華やかな明るさが似合いますから、かけ離れている気がしちゃいます(T_T)

出色の出来の海外特派員等と比べ、確かに、この時期、ヒッチコック事態がスランプ気味になり、不振だったのが分かる作品ですが、ニューマンとの唯一の作品で、大事な一作には違いありません。

お暇な時にでも(^^)

ヒッチインパースンはネタバレに入れときます(^^)
滝和也

滝和也