みおこし

ワイルド・チェンジのみおこしのレビュー・感想・評価

ワイルド・チェンジ(1989年製作の映画)
3.8
かつては名門校だったものの、いつしかドラッグと暴力が溢れる荒れ果てた環境になってしまったニュージャージー州のイーストサイド高校。見かねた上層部の働きかけで、20年前ここで教壇に立っていた熱血教師ジョー・クラークが校長として着任した。”クレージー・ジョー”の異名を持つ彼は、更生不可能な問題児たちを次々に退学処分にしたり、校門に鎖をかけて侵入者を防ぐなどの荒療治を施しながら、荒れ果てた学校を改革していく。生徒たちからの信頼を獲得する一方で、彼の型破りなやり方は父兄や教育委員会、さらには同僚の教師たちからも批判を浴びるようになるのだが…。

モーガン・フリーマンが熱血”校長先生”に扮したノンフィクション映画。教師モノのアメリカ映画って意外と少ないから常に探しているんですが、本作は完全ノーマークだったので出会えて嬉しい!監督は『ロッキー』『ベスト・キッド』などの熱血スポ根映画の名手であるジョン・G・アヴィルドセンということで、もうアツいアツい!(笑)色んな教師ものを見てきたけれど、担任や顧問の先生じゃなくて校長先生が主人公というのはなかなか珍しいのでは?
ガンズ・アンド・ローゼズの「Welcome to the Jungle」を爆音バックに、荒れ果てたイーストサイド高校を映し出す強烈なオープニングから釘付け。よく”荒れてる”という表現が使われますが、日本の学園ドラマ含めてもこんなにヤバい学校は観たことないです(笑)。普通の学校の廊下のはずなんだけど、まるで『マッドマックス』に出てくるかのような世紀末感が物凄い。20年前の栄光を胸に懐かしの地に戻ってきたら、あまりに当時とかけ離れていてショックを受けるクラーク校長の表情もまた哀愁たっぷり…。しかし、こんなことでめげるヤワな人ではなく、文字通りの熱血教師ぶりを炸裂させて、クラークは次から次へと問題を解決していきます。いつも野球のバットと拡声器を持ってきびきび歩く感じが超カッコいい!しかし、優秀なのは間違いないけれど、自分のやり方に賛同しない教員を辞めさせたり停職させたりととにかくワンマンっぷりが激しくて、時には「いやいや、それはやりすぎでしょ」という瞬間も多々ありました。
彼のワイルドな施策は一貫して生徒と学校を守るためなので、その想いはしっかり学生に伝わり、彼らから絶大な信頼を集めていきます。だけど大人たちからはどんどん反感を買ってしまい、敵だらけに。ついには一番支えてくれていた教頭先生とも仲違いしてしまうのですが、ここから大切なことに気づいて、頑固な校長先生が変わっていくところ、彼の人間味が感じられてすごく良かったです。彼が今もなお”伝説の教師”としてアメリカで名を馳せているのは、こういう人間らしい一面も持ち合わせていたというのもあるのかなと。
いくつか脚色された部分もあるようで、特にクラーク校長が逮捕されたという事実はないらしくちょっと大げさに感じてしまった部分もあったけれど、それでもなお学校を変えようと健闘するその姿に心打たれたし、エンドロールでの卒業式のシーンは胸が熱くなりました。演説のシーンはどれもモーガン・フリーマン節炸裂。モーガン先生が言うことは自然と全部正しく思えちゃうから不思議だなぁ(笑)。実際のクラーク校長もすごく説得力のあるスピーチをされる方だったんだとか。本人のお写真も見てみたら威厳漂う素敵な方でした!

そういえば、学校のトイレで不良たちが歌うシーンが爆笑必至なのでお楽しみに(笑)。
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