TAK44マグナム

ダスク・オブ・ザ・デッドのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

ダスク・オブ・ザ・デッド(2008年製作の映画)
3.6
謎のトゲトゲ寄生体が襲ってくるホラーの掘り出し物。
テンポが良くダレないので、ちょこっとヒマこいている時に
「何かどうでもよさげな映画でも観て英気を養っちゃうかな!」
などと鑑賞するぶんには非常に適した一本であります。

予算ないのがアリアリなので、舞台となるのは殆どちっぽけなガソリンスタンドのみ。
登場人物も6人しか出てきません。
なので、複雑なお話などあるはずもなく、単純にバケモンが襲ってくるので店内に立て篭もって、さあどうしよう?という、所謂よくあるタイプの映画ですね。わかりやすい!

「星空の下でセックスしよう!」と能天気にキャンプ場へとやってきたカップル。
タンクトップの胸元がイカす女子はアウトドア派なのに対して、彼氏は医大生のパーフェクトなるインドア派。
どうしてこの二人が熱烈に愛し合っているのか疑問を感じるかもしれませんが、お互いに無いものを求めるってこともあるわけでして、多分このカップルもそうなんでしょう。
勝手な推測ですけれど!
で、彼氏がテントを壊してしまったので仕方なくキャンプは中止、モーテルでセックスしまくろうと車を走らせます。
すると、途中で見るからにジャンキーそうな女子が幸うすそうに立っているのを発見。
「どうしたんだろう?」と、止せばいいのに車を停めたら、案の定、ジャンキー女子の彼氏が銃をちらつかせて「降りろ」と凄んできましたよ!
そんなこんなで犯罪者カップルの人質となり、セックスもおじゃんになってしまったカップル。
「言う通りに運転しろ」と命令されて、仕方なく車を発進させると、突然、何か動物を轢いてしまいパンクしちゃいます。
ラジエーターも壊れちゃったんで、先にあったガソリンスタンドに行くと、店員の姿がありません。
そりゃそうです。冒頭で店員は優雅に菓子くってたらトゲトゲにボロ雑巾のようにされちゃっていましたから!
ジャンキー女子がトイレに入ろうとすると、自分がトゲトゲになっちゃった店員が「殺してくれ~」と、初対面なのにずうずしくもいきなり哀願!
びっくらこいたジャンキー女子が彼氏にSOSすると、トゲトゲ店員は「殺してくれ~」どころか「殺してやるぜ~」って感じで迫ってくるではありませんか!
「なんなんだ、こりゃ!?」と、店内に逃げ込む彼らにはたして明日は来るのでありましょうか・・・・・?

なんだかはっきりと姿を見せないトゲトゲゾンビ(正確にはゾンビじゃないけど)との攻防だけの90分一本勝負!
主人公が医大に通う生物学者のタマゴという、とても都合の良い設定のおかげで、どうやらトゲトゲは生物に寄生して捕食や移動を行う有機生命体らしいと早期に判明します。
手が千切れれば、手だけで素早く動き回り襲ってくるので厄介極まりない。しかも、ちょっとでもトゲトゲに刺されれば、あっという間に寄生されて身体を乗っ取られてしまうのですからたまりません。
誰もが思い浮かべるかもしれませんが、やはり「物体X」の影響下にあるクリーチャーと言えるでしょう。
奇怪なトゲトゲビジュアルも含めて、妙に心の残るクリーチャーではありますな。

ドラマ的には薄っぺらのペラペラ。
ゴロツキにしか見えなかった犯罪者野郎が、実は根はそんなに悪くないんだぜ~などと良くあるお涙頂戴やられてもどうかと思うのですが、インテリ医大生がいつの間にか頼もしくなったりと、それぞれのキャラはしっかりとたっているし、店内にあるもので状況を打開しようとあれこれ試行錯誤する展開は嫌いではありません。
特にトゲトゲに感知されないために身体を冷やす場面は、傍から見るとどうにもアホくさい画づらがこれまた微笑ましいというか何というか。
キスすると唇が温まっちゃうんだって。
あらヤダ!どこの厨二恋愛モノなのでございましょうか!

ラストは少々ありきたりで、やや拍子抜け。
もう一工夫欲しかったところですが、シンプルな幕引きにしたかったのかもしれません。
個人的には、「吸血鬼ゴケミドロ」の様な救いの無いエンディングであってほしかったです。
本作も、バッドエンドと言えばそうかもしれませんが・・・。

結局のところトゲトゲは一体どこからやってきたんでしょうかね?正体は?
そのへんの説明が省かれているのも「物体X」っぽいですね。

派手なスプラッター描写や突き抜けた印象は無いですけれど、全体の作りそのものはマジメにまとまりのある出来栄え。
きっとこういったジャンル映画に対して真摯な製作陣なのでしょう。100円レンタルならオススメです。


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