MASH

俺たちステップ・ブラザース -義兄弟-のMASHのレビュー・感想・評価

4.5
アダム・マッケイ中でもバカさ加減ではトップクラスかも。彼の作品を考えるとよっぽどのものだ。そしてそれが何より最高!ウィル・フェレルとジョン・C・ライリーがひたすら小学生みたいにバカをしまくる。笑えないわけがない。普通だったらこんなギャグの連続は途中でグダッたりイラってするものだが、彼らの手にかかれば常に抱腹絶倒の掛け合いにできるのだから、彼らのコメディアンとしての実力がいかにずば抜けているかが分かる。

だが、アダム・マッケイの他の作品と同様、単なるバカ映画では終わらせてないのがまた素晴らしいところ。すごい笑える内容にはしているが、これが現実だったら全く笑えない状況だ。主人公2人は完全にピーターパン症候群であり、大人になることを拒み続けている男たちだ。彼らがバカをやる度に爆笑してしまうが、そのあまりに酷い行動を見ているとそれらが単なるギャグという訳でもない気がしてくる。そして、徐々に観客は「大人になるとはどういうことか」を考え始めるのだ。そして映画もそれに応えるように「大人になるとは?」という問いに答えてくれる(あくまでこの映画流だが)。

精神的にも生活面でも自立して、責任を持った行動をする。それが"大人"になるということだろう。だが、それは自分の中の"子供"の部分を抑えつけることと必ずしも一致しない。クサい内容と思うかもしれないが、主人公たちのあまりのバカさ故に謎の説得力が生まれているのだ。主人公たちは最後の最後まで観客の期待通りのバカをやってのけるが、彼らなりの大人のなることの意味を見出し始めたと思うとちょっぴり感動してしまう。究極のおバカ映画の一つだが、そこから一歩先にいった優れたコメディ映画とも言えるだろう。

いや、やっぱりバカなだけかも…

2回目 4.5点
(2023年7月10日 U-NEXT)

1回目 4.5点
(2020年6月29日 NETFLIX)
MASH

MASH