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サンタが殺しにやってくるのhorahukiのレビュー・感想・評価

サンタが殺しにやってくる(1981年製作の映画)
3.2
サンタの格好をした奴に気をつけろ!

12月はクリスマス①

幼い頃、ママとサンタに扮したパパがヤッてるとこを見ちゃったトラウマと、兄ちゃんにサンタなんて居ないよと言われたショックでイカレた主人公が大人になって殺人サンタに変身するスラッシャー。

まずはクリスマスホラーの定番から。初めて見たのだけど、もっとハイテンションなスラッシャーかと思いきや、『マニアック』のようなダウナーな主人公の雰囲気がクリスマスに湧く周囲の空気感との温度差を強めていて、暗い気持ちになる悲しげなお話だった。

サンタを信じる主人公は、自らサンタになって良い子にはプレゼントを悪い子には変なものを渡す。そして自分を馬鹿にする奴はぶっ殺すという危なすぎる存在。実際にはそれほど殺しは行わず、サンタへの執着に囚われすぎた主人公の内面的なカオスを深掘りしていくような内容。

両親のヤッてるところを目撃して狂うのは同年の『ナイトメア』と同じ。流行りだったのかな。主人公にとってのサンタは幼さの表象でもあるのだけど、子供への無償の愛情だったり大事に思う心を象徴するものでもあって、子どもを大事にしているようで利己的でしかない大人の汚さへの反抗でもある。

「サンタ」を否定する兄との問答は、まさに人の中の善が存在するのかどうかの問答であり、「サンタ」を証明したい=兄に認められたいと願う主人公の必死の訴えと問答無用で「狂ってる」と切り捨てる兄との会話は悲しくなる。

だから「サンタ」という純粋に子どもを思う存在を幼さとイコールで結びつける本作は凄く厭世的。更にはその思いがファンタジーへと転化するラストもそれに拍車をかけている。ただそんなに面白くなかったのは残念…😅
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