イチロヲ

サンタが殺しにやってくるのイチロヲのレビュー・感想・評価

サンタが殺しにやってくる(1981年製作の映画)
3.6
サンタのコスプレでセックスする両親の姿を目撃した少年が、成長後にサンタのコスプレで殺人行為をするようになってしまう。本来の意味の「トラウマ」について、真摯に向き合っているサイコ・スリラー。サンタクロースのスラッシャー映画を期待すると肩透かしを食らうので注意が必要。

聖人であるはずの「サンタクロース」が自分の「母親」とエッチしているという2重のトラウマのために、人間性がおかしくなっている中年男の物語。サンタのもつ「聖性」を踏みにじられると、抑圧されていた闇の部分が表出する。そのキチ○イ演技がとても素晴らしく、一息に惹き込まれる。

本作で一番恐怖を覚えるシーンは、サンタが犯行をする場面ではなく、大勢の一般庶民が松明をもってサンタを追い詰めていく場面。映画の基本的手法であるところの、「蔓延するパラノイア」というものをうまい具合に描写している。

冒頭で少年が目撃する両親のセックスシーンが、単に身体を寄せているだけの場面に終始しているのが心惜しい。あそこは、サンタと母親が「合体」しているところを直視するぐらいストレートにやったほうが、少年が受ける「ガーン!」というショックを強烈に描くことができたと思う。