かなりの問題作。休日のティータイムに頬杖ついて観れるような代物じゃない。
冒頭の豚の屠殺シーンで、この作品がとてつもなく暗い作品ですよ、ということが宣言される。
テレビ・ビデオに影響を受けるあまり、虚構と現実の区別が曖昧になった少年は、何をするにも、少女を撃ち殺すことにすら、「何となく」「わからない」と一切の動機がなく、どこかフワフワとしている。
少年が向き合うリビングの壁にひときわ目立つ、ウォーホルのマリリン・モンローは、ショービジネスの表舞台と色褪せた空虚な現実のギャップを表す作品であり、その配置が偶然とは、自分には思えない。
とはいえ、罪を犯した後、丸坊主にしたり警察に告白しにいったりという一連の行動を見ると、本人が「何となく」行ったことでも、心は大きなダメージを受けているような気もする。たとえ、現代の現実感が希薄になりがちな状況においても、人の心の奥は変わらないという監督の微かな希望が見えなくも…ない?笑