「ベニーズ・ビデオ」に投稿された感想・レビュー

踊る猫
踊る猫の感想・レビュー
2016/10/15
3.9
撮影されたら手ブレも生々しく、再生されても粒子が荒い映像でしか映し出されることのない「ビデオ」の画像とミヒャエル・ハネケの映画本来のクールな質感の画像が溶け合って、曰く言い難い世界を作り出しているように思う。主人公のベニーは「ビデオ」の画像に没頭する人間、つまり「ビデオ」を通してしか現実と関われない人間なのだろう。だから彼は人を呆気なく殺す。ネタを割るのは慎むが、そんなベニーが自我の内側に閉じこもっていたのが、旅行に行ったことで「外側」つまり「リアル」を観たと解釈するのが妥当なのではないか? だから改心したのではないか……そんなようなことを思って観てしまった。もちろんこれはかなり単純化された感想でしかなく、「スジ」でしか映画を観られない私の限界なのだろう。飛び抜けた傑作、というのではないと思う。しかし、犯罪者の生々しい心理に敢えて淡々と客観的に触れた佳品として私には映った。
qudan
qudanの感想・レビュー
2017/04/14
3.0
定点カメラ・クローズアップ・あえて対象を映さない・長回し・似た映像を繰り返して生むリズム、などによって想像力をかきたてる映像は流石。
(そして大事なのが音であることをインタビューで語っている)

前半は少年の中2感が存分に出ていて良い。

映画の中のビデオ映像を見るという入れ子構造によって、観客の立場を揺さぶってくるのは「隠された記憶」に通ずる。

後半の物語は家族関係に焦点が当たる展開だが、個人的にはダレてしまった。
新品畳薫
新品畳薫の感想・レビュー
2017/04/12
4.7

このレビューはネタバレを含みます

"ハネケの作品にはいつも子供の眼差しがある"

エジプト滞在中の母子のやり取りに、この映画の真意を紐解く手がかりがあります。

ベニーが撮影するビデオには必ずと言っていいほど母親が映っていますが、
それに対し母親は遺跡など風景ばかりを撮り、悪気はないにせよベニーを画面の外に追い出そうとさえします。

事件直後、事後処理の相談をする両親の会話さえもベニーは撮影をしていました。
もしかしたら、彼らの会話の中に「自分の存在」を見つけたかったのかもしれません。

ベニーにとって、対面した肉声での
「愛しているよ。」という言葉よりも、
ビデオ(虚構)の中に映されている事柄のほうがより真実に見えるのではないでしょうか。

彼がテレビを"カメラ越し"に見る行為の持つ意味も、それを考えると色々見えてくる気がします。

ハネケ作品にはいつも無邪気な眼差しがあるように思います。
大人の目を逃れた、または彼らの眼差しを浴びられなかった、その純粋さが引き起こす事実を実直に描く監督なのだと改めて思いました。

(余談ですが、レンタルビデオでベニーが見ていた映画はおそらく「悪魔の毒々モンスター」だと思います。)
すね
すねの感想・レビュー
2017/04/05
4.5
ただ、どんなかなぁ…と思って…。

少年(ベニー)の殺人を題材にした、生々しく重めな内容の作品。

彼がどうして殺人を犯したのか?心の中では本当は何を思っていたんだろうか?…というのは詳しくはわからない。

これまた自分で感じるままの解釈で…ってことですか、ハネケさ~ん。

少年はカメラで外の様子を撮影し、部屋でその撮影した動画を見る。まぁ、どこにでもいる少年だね。普通の生活で、普通の少年が殺人犯になってしまう(なることもある)ということに恐怖を感じた。すごく近くに感じた。

少年はたまたま知り合った少女を衝動的に殺害してしまう。

始まって間もなく少年が撮影した動画に豚を殺すシーンがある。頭を銃でドカン。一発でやられる豚さん。ビィと言いながら倒れた豚さん。そうか、少年はあの目が見たいのか。ゾッとしたな…。

巻き戻しに、スローモーション。豚さんはまたやられる。「ハネケさん意地悪…もう、好き」

人生は何事も経験が必要だ。なんて言うけれどみんな殺人だけはオススメしない。それはみんなが殺人はしてはいけないことだと分かっているから。でも、どうしてしてはいけないの?の問いに答えられる人っているのかな…。
なんとなくダメ。
いや、絶対ダメ!
サツジン、ダメ、ゼッタイ
ゆうき
ゆうきの感想・レビュー
2017/03/31
3.5

このレビューはネタバレを含みます

「あんな事?」「どんなものかと思って…」発言にこの子ならと納得しつつも撃沈
最初の豚も流れる不穏なニュースも全てが鬱すぎる

監督のインタビューが興味深かったな〜。
曰く映像・写真におさめることはそれを所有すること、支配することであって、でも実際は所有できてないし支配出来てない
ベニーくんは映画を観たり動画を撮るのが趣味な現実をあまり実感出来てない少年で「いつでも状況をコントロールできる」と思ってる(こういう部分にホラー映画を観る観客の心理の起源があるとか…ホラー映画は観ても実害はない云々)
だからこそベニーくんは撃たれて苦しむ女の子が叫び出すシーンでしか慌てなかったんだな〜と。
明確な行動原理が無い上で行われた所謂殺意の無い殺人だから当然罪悪感もない訳で…最後に出頭して親の幇助を暴露した後「帰っていいですか?」って普通に考えれば良いわけないしその発言自体がおかしいのにベニーくんは平然としてる
後は死体を細かくしてトイレに流そう派のママが動揺のあまりニヤケ出すのが怖い

青味がかった冷たくて硬質な画面で監督の狙い通り音が想像を掻き立てる兎に角恐ろしい映画でした…
DORAMI
DORAMIの感想・レビュー
2017/03/18
3.2
親子の会話が全然噛み合ってない…コワ。
ゆう
ゆうの感想・レビュー
2017/03/16
3.8
ベニーはビデオのイメージを通して世界を観ることで残酷な行為にも無感覚だけれど、この映画を観てる私たちも実は彼と同じように淡々と起こる恐ろしい映像をスクリーン通して観てるということに気づくと二重に恐ろしい。
supermoom
supermoomの感想・レビュー
2017/03/11
3.6
久々にハネケを見たけど、何でこう人間の危うい心理をここまで巧みに映像化できるのかと感心する。

でも、この映画はやばい笑
さっちゃん
さっちゃんの感想・レビュー
2017/02/23
-

このレビューはネタバレを含みます


めちゃくちゃ不気味。全体的に抑えた演出になっているけれど、
唯一というか母が嗚咽しながら泣くシーンがある。印象的。

「なんでうちの息子はこんな風になってしまったんだろう、私の育て方が間違ってたのかしら。」っていうね。
LEON
LEONの感想・レビュー
2017/02/08
3.9
〝その残酷で恐ろしい行為は、動機や信念など理由などない…〟

冒頭の豚のシーンでこの映画の先行きが不安と恐怖で堪らなく、結末を向かえる前に妄想が渦巻く苛立ちさを感じる。

〝ベニー〟はビデオカメラのファインダーを通す事で、社会を客観視したかのように冷静な少年。
その冷静さは冷酷に変わり、恐ろしい行為に…。

荒れブレるビデオ映像が流れる数多くのシーンは、観ている側も〝ベニー〟の視点が垣間見れ事で恐ろしいさが増幅する。

なによりビデオ再生されたモニターは映画の画面の中の画面であり、観ている側の立ち位置が不思議な空間の狭間に陥る。

画面を通し目に写る出来事が本物か偽物かは一般メディアでも同様で、現実かどうかは自身で見極めなければ一方的で偏った社会に飲み込まれてしまう。

全ての行為に根拠や動機など理由を付けたがるのは、もしかしたら現代社会に流され凝り固まった固定観念に囚われてしまっているからかもしれない。

映画の少年の行為は到底、正当化も理解もできるモノではない。

しかし、理路整然と損得勘定で論理的な考えで行動するのではなく、少しだけ…ほんの少しだけでも感情に身を任せ思うがままに生きる事も必要なのかもしれない。

映画として面白いのですが何回も観るような面白さではなく、毎度のことながら後味悪いハネケでモヤッと気分が悪くなります..★,
>|