踊る猫

有りがたうさんの踊る猫のレビュー・感想・評価

有りがたうさん(1936年製作の映画)
3.9
観ている間は特にどうと言うこともないんだけれど、観終えた後じわじわと面白さというか、本当にハートウォーミングな映画なんだなという「温もり」が伝わって来る。一体何処からなのか、それを言葉に出来かねるというのが正直なところだったりする。始終「有難う」を欠かさない上原謙の演技の爽やかさと、何処かミステリアスな雰囲気をやはり終始漂わせている桑野通子の魅力故のものだろう。もちろん背景になるど田舎の風景も美しい。これは(たった二日だけを描いているが)「ロード・ムーヴィ―」なのではないだろうか。しかも良質の。観終えた後で登場人物と観客の中のなにかが確実に変わるという意味では、そう呼ぶに相応しいのではないかと思う。またしても凄まじい監督の作品に出会ってしまったものだ。
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