おださん

自由への闘いのおださんのネタバレレビュー・内容・結末

自由への闘い(1943年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

字幕、大学の上映会で視聴。
ボロボロ泣いてしまった…。いやこれ1943年の映画とか嘘でしょきついわつらすぎ……。ムリィ………。第二次世界大戦真っ只中やのに、第二次世界大戦下でドイツ軍に占領されたヨーロッパの田舎町のお話書かないでよ〜…😭← でも教科書のページ破るシーンやら防空壕で歌いながら空襲をやり過ごすシーンやら子どもたちが航空機の音面白がってる描写やら男女ではっきりクラス分けしてるシーンやら何やら何まで当時の時代背景を物語ってた…。1943年の作品なんですね…。というわけで内容ももちろん泣けたけど1943年の白黒映画という時代背景を混ぜるとも〜〜〜ダメでした。終盤の、裁判→拘置所→法廷で演説→教室での最後の授業という流れのシーン全般が名作すぎるからそこだけでも繰り返し観たい。
主人公のアルバートは、内気で臆病でちょっとマザコン気の感じさせるような教師で、ドイツ軍に抵抗して「自由」を訴えたいけどなかなか表立った活動はできない。同僚教師のマーティンのことが好きだけど、告白する勇気もないし、そんなマーティンは町の有力者ジョージと結ばれてるしで正直最初はかなりダメダメ主人公やねんけど、最後の法廷で語るシーンでは占領を受け入れてしまっている事態に警鐘を鳴らすことに成功してて、いや〜〜〜成長?変化?っぷりが素晴らしかった!! その前の、アルバートが法廷で演説できるよう影響与えたソレル教授の処刑シーンもすんごい…!! 素晴らしい人格者で尊敬を集めるソレル教授が、「自由」を求めて抵抗し啓蒙しようとしたことにより処刑されてまうのはほんまに納得できんかったけども、拘置所にいるアルバートの姿を見て右手を挙げにっこり笑った教授のことを思うと何回でも泣いてしまうね…!! 好きだ……。ジョージを殺害した冤罪を被せられながらも、「法廷は唯一自由に語れる場所だ」とソレル教授の意志を継いでアルバートが話すのが胸にギューンってなるよ…。
とにかく登場人物がみんな魅力的で、爆弾テロを起こして結果的にドイツ兵を2人殺してしまうというすべての元凶を引き起こしたマーティンの兄ポールも、ちゃんと覚悟を持っててすごいイイ男だった…!!犯人とバレて死んでまうけど、やっぱりそれも覚悟の上というか、精一杯抵抗した彼の生き様を見ると元凶として非難はできないというか…。ケラー少佐と通じてたジョージも、弱い男みたいやったけどもその複雑な心情を慮るともう切なくて切なくて…。ケラー少佐からポールの死を利用してマーティンからさらに情報を引き出すよう暗に促された後、平和の象徴である鳩を自らの手元に置くのではなく窓から放すことで自由を与えてから拳銃自殺するシーンは衝撃的やった…! 抵抗反対派っぽかったし、その点においては明らかにマーティンとも主義が食い違ってしまってたから、まさか自殺するくらい思い詰めてたとは…そんないい人やったとか…つらいしやっぱり切ない……。(特に鳩のシーンとか色々深読みできるよね)(自由になれない自分と重ねたりしてたのかな)(うわきっつい)
全体的に観たら、ケラー少佐に代表されるドイツ軍とかそれに屈する市長とかが悪者な感じで描かれてしまってたけど、でも本当に個人的には戦争物に悪者っていないと思うんだよな〜〜…! ドイツが明らかに悪っぽいの本当にきついんやけど、まだそこまでモヤモヤせずに観られたのはケラー少佐が言うてることがまともで正しい感じに見えるような描写がちゃんとされてたからかな…。不当な要求や占領してるからの独裁的な態度はあるのかもしれんけど、そこまでガッツリ武力で縛ってるわけにも見えなかったし、相手の話もそれなりに聞いててドイツに限らずそういうのどこでもあったでしょ、って普通に思えた。善悪くっきり分かれてない(ように個人的に感じられた)のはこの映画の好印象ポイントでした!(笑)
終盤、ポールが死んだことで犯人をバラしたと疑われたアルバートが実際にバラしたジョージの元へ真相を問い質しに行ってしまい、ジョージの自殺に立ち会ってしまったことで殺人の冤罪を被せられてからの裁判シーンは流れが完璧すぎてすごい興奮したし、その裁判シーンも1回目から結構アルバートが強く見えたからここで一皮剥けるのかと思ってたらソレル教授の処刑を挟んでまさかの2回目のシーンがあるという…!! そんなん感動するわ…!! 2回目の法廷でアルバートはほんまに死を覚悟してすべてを語るけど、それを誰に押し付けるでもなくただただ自らが死ぬことをわかっていながら語るからもう切なくて切なくて…。(2回目) しかもマーティンに告白したのも堪らなかったよね〜…!! 男だよ!!! そしてそこで終わるかと思いきやジョージ殺害の裁判は無罪で、でももちろん生かされるわけはなく、死ぬ前に最後教室で人権宣言?読み上げるのがも〜〜〜…!! ちゃんと子どもたちに教育するっていう、最初のほうでソレル教授と話し合ってた一番大事なことを最後で果たしたのがすごく好きだった。授業は途中で兵が入ってきたことにより途中で終わってまうけど、その意志は人権宣言の続きを読み上げるマーティンや子どもたちにちゃんと受け継がれていくんやろうな、って…。兵隊に連れて行かれる前、「私は幸せだよ」ってマーティンに伝えていったのもすごいよかったよ…。ううううう……orz
『一年の九日』でも書いた三宅唱監督のメッセージをここでもまた書くけど、「抱きしめたくなる。だが、もう抱きしめられないのだ、というような瞬間がこの2本の映画には残酷に映っていて、それを思うと、たまらない感情がぶり返す。」って言葉が本当にその通りな作品やったな…。時代背景やらの要因のためか、こっちのほうが自分には刺さった…。また繰り返し観たい、名作でした!
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