イチロヲ

ザ・ピットのイチロヲのレビュー・感想・評価

ザ・ピット(1981年製作の映画)
3.5
人間関係を築けないでいる変わり者の少年が、後生大事にしているテディベアの声に導かれるうちに、町外れの大穴に怪物が潜んでいることを発見する。思春期の心理状態をホラー演出に転換させている型破りな作品。

「穴の中=思春期の心の中」という具合に汲み取るべき作品。作風は異なるけれど、「ゴースト・ワールド」とも通じるものがある。

本作品の醍醐味は、非現実的な現象があたかも本当に起こっていることのように、映像に写しているところにある。映像には写さずに虚実の判断を鑑賞者に委ねるパターンとは、また違った味わいが備わっている。

少年が大穴の怪物に人間という餌を与えるようになってからは、少年自身の妄想世界が展開されていると考えることができる。だが、本作はシナリオの「正解」を求めない鑑賞方法にこそ、本領を発揮するタイプともいえる。

思春期の心の中をケレンミたっぷりに描いている作品。私はこういう作品が大好物。もっと餌をよこせ。