emily

女が男を捨てるときのemilyのレビュー・感想・評価

女が男を捨てるとき(2006年製作の映画)
3.7
 田舎で暮らすフアニは両親の喧嘩や彼氏の浮気など田舎の日常にうんざりし、女優の夢をかなえるべく親友のヴァネと一緒にマドリッドへ旅立つ。当然上手くいかないことばかりだが、それでも前を向いて歩いていく・・

 ストーリーは至ってシンプルであるが、その見せ方はスピード感があり、スタイリッシュな色彩とイメージ像の挿入により心地よいリズムを刻んでくれる。ディスコの眩い光からスピード感のあるシーンの切り替え、カーレースのゲームの映像や、セックスシーンなど青春のきらびやかさをスピードを感じさせる映像により表現しており、そこに寄り添う音楽もスペイン語の曲ばかりだが、しっかりシーンを印象づけている。

 二人マドリッドへ。充実した日々を2分割の画面で見せ、女優の世界にのめりこんでいく。自分が特別になったような気分になり、その勘違いからの落胆をしっかりドキュメンタリーのように見せながら、都会で懸命に生きていく人たちをPVのようにイメージを切り貼りして見せていく。

 挫折と田舎に帰らないといけなくなるタイミングが重なる感じも非常にリアリティがあり、そこで元の生活に流されそうになりながらも、突き付けられる現実はさらに厳しい。しかし彼女はあきらめない。そうしてその現実と向き合う時初めて本当の意味で男を捨てるときである。未練がきれいさっぱり消え去り、私は前を向いて生きていくと強く誓うのだ。その清々しいフアニの表情がいい。男と別れるだけでは捨てることにはならない。捨てるという事は彼女の場合は前を向いて歩いていくということである。
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