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キャビン イン ザ スカイのchakoのレビュー・感想・評価

キャビン イン ザ スカイ(1943年製作の映画)
3.6
ギャンブル好きから改心したいのに誘惑に負けてしまいそうな男リトル・ジョー
そこへ彼をそそのかす悪魔が現れ、善と悪の間で葛藤する彼は悪に打ち勝てるのか?といったお話。

元々はブロードウェイミュージカルであった作品をヴィンセント・ミネリが初監督としてメガホンを取った本作。
ミネリの作品と言えば、豪華な衣装やセットで色鮮やかな世界観が特徴的なのですがこちらはモノクロ映像。とは言え、モノクロ映像でも色鮮やかさが伝わってくるような活気あるミュージカル作品でした。

教会でのゴスペル曲に始まり、エセル・ウォーターズ演じる信心深い妻ペチュニアがしっとりした声で歌い上げる「Honey in the Honeycomb」、そして「Taking a Chance on Love」、「Happinness Is a Thing Called Joe」などの名曲が散りばめられているのも魅力的なのですが、何より魅力的なのはオール黒人キャストによるパワフルな歌とダンス。後半でのデューク・エリントンの演奏の元、皆が踊り出すシーンは圧倒的。

そして、私の大好きなサッチモさんも出演されています。「5つの銅貨」や「グレン・ミラー物語」などでは本人役で出演されているサッチモさんですが、本作ではなんと主人公ジョーをそそのかす悪魔の一員!
ジャズの神様と呼ばれたあのルイ・アームストロングが悪魔役だなんて、何だか面白い。他の悪魔同様に髪をツノのように立ててるのがまた可愛らしかった。
ただ、サッチモさんの演奏が聴けると楽しみにしていた私にとっては残念なことに、本作では演奏と呼ぶには程遠い音出し程度。元々は歌のシーンもあったけれど、カットされてしまったんだとか。

作品としては十分に楽しめた作品ではあったのですが、 後からDVDの解説などを聞いて呑気に楽しんでいた自分が恥ずかしくなりました・・・

『力と勇気に満ちた思いは
いつの時代でも
伝説 民話 童話として語り継がれる
米国の民話はさまざまな土地や
人種 肌の色に起源を持つ
この信仰と献身の物語も
そうした背景から生まれた』

というクレジットが始めに流れるように、製作された当時はまだ黒人差別が吹き荒れていた時代。公開に辺り、特に南部では上映を拒否されたりと、さまざまな問題があったこと。そうした背景の元に作られた作品であることを心に留めておきたい。