でしょうかな

ザ・バニシング-消失-のでしょうかなのレビュー・感想・評価

ザ・バニシング-消失-(1988年製作の映画)
3.4
休暇を取ってフランスまで旅行に来たオランダ人カップルのレックスとサスキアだが、高速道路のサービスエリアで飲み物を買いに行ったサスキアが忽然と姿を消す。3年後、未だに行方知れずのサスキアを探し続け精神的におかしくなっていくレックスの元に、真相を知ると主張する男が現れる。

あるソシオパスと、偶然によってその毒牙にかかった男女を描くサイコサスペンス。
犯人の描写が白眉。一見善良な家族や隣人でありながら、その裏にひどく冷徹で傲慢で自己中心的な人格を隠すのはまさしくサイコパスだが、知能が高いものの創作の「サイコパス」にありがちな万能の天才でなく、犯行を成功させるまでに失敗を重ねるのが妙にリアル。厳密にはシリアルキラーでないものの、そうした現実の犯罪者とよく似た行動様式だ。また、少しずつ病んでいくレックスの痛々しさも、言い方はなんだがなかなか魅力的。
ただ、展開に若干ご都合主義を感じる。些細なこととはいえ、犯人がそれなりにミスを重ねているのに警察は何をやっているのか。それと、意外性に乏しかったのも少し残念。
でしょうかな

でしょうかな