心優しい大道芸人をチャールズ・ロートン、彼に才能を見い出される生意気だが美しいリビーをヴィヴィアン・リーが演じた、心温まる作品だった。
ありがちなストーリーかもしれないが、その教訓と大道芸人の優しさが胸にしみる。
大きな鏡に光がさしこみ、その中で優雅に舞うリビーの美しさ。
そしてやはりヴィヴィアン・リーらしい、コロコロ変わる表情の豊かさがとても魅力的。
彼らを結びつける音楽が印象的である。同じメロディによって時をつなげる、懐かしい音楽を聞くと、すぐにそのときの映像が思い浮かぶのと同じ効果を生み出している。
レックス・ハリソン、もうマイ・フェア・レディの教授みたいな役どころを、すでにこの作品でしていた。
「大道芸人も物乞いも同じようなものよ」という発言に対して、カチンときたようなリビー。
彼女の性格からして、スターになる動機に納得のいくものである。
尺が短いものの、端的にわかりやすい筋があるため、不自然なつなぎになることがあまりなかった。
冒頭のシーンとラストシーンが同じようで違う。
その比較によって、よりまとまりの良い作品となっているのだろう。
起承転結がはっきりしており、ストーリーがわかりやすく観やすい。
そして豪華な俳優陣の競演も見ものだった。