幸子

鏡の中にある如くの幸子のレビュー・感想・評価

鏡の中にある如く(1961年製作の映画)
4.5
『寝ても覚めても』の正面ショットがあの構図にもかかわらず小津を逃れているのはベルイマンに吸われていたからだ。『寝ても覚めても』において「神」が「神」として存在せず朝子と麦に偏在していたように、本作においてもそれはカーリンを通じてのみ顕現するが、それを想起させる不穏さはロケーション以上に限定的なものだ。同時に、影響下にあるどの後作も比肩しない孤高たる位置に本作を足らしめているのがまさにそのロケーションである事実は、朝子とカーリンを決定的に分かつものである。
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