やま

血のやまのレビュー・感想・評価

(1989年製作の映画)
4.2
アンスティチュ・フランセ東京にて鑑賞。
この監督のDVD高すぎて買えないので映画館でやってくれて助かった。

一言でいえば、影がカッコよすぎる映画。

今作の見所は奥行きではないかと思う。
最強の照明により、画面の奥の奥が常にある。
何層もの積み重なりで一つのシーンができている。

最高だと思うのは、
父親が家を出ていくシーンにおいて、息子から離れている父親にスポットが当たっていて、父親の吐く息の白さまで見える場面。
主人公が叔父を廊下のような場所で殴る場面。
他の場面でもそうだが、鏡が最高にいい仕事をしていてカッコ良すぎるのだ。
鏡を上手く使っている映画は大体いい映画が多い。鏡を使って借金取りと主人公を同時に映すのも最高だった。


奥行きだけでなく、カット割も見所。
観ていて気持ちのいい流れが多すぎるのだ。
特に最高だったのは、奥の霧に向かっていく男と女→奥からニノを抱えて手前に歩いてくる叔父、そのまま車に乗っていくらへんの場面の流れが好きだった。
一つの絵として観ていても最高にカッコいい。
ニノが逃亡を図る場面も最高だったはず。
一人で蹴りの練習をしているのもついでに良かった。

多くの人がレビューしてる通り、レオスカラックスの「ボーイミーツガール」同様、やりたいイメージだけ撮ってるだけだろと言いたくなる。
けれども最高なんだよなぁと。

見所の場面が多すぎて、書ききれないのも事実。
やま

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