Melko

翼のない天使のMelkoのネタバレレビュー・内容・結末

翼のない天使(1998年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

最高に爽やかな涙を流させてもらった。
なんて素敵な映画だろう。

大好きなおじいちゃんを亡くし、立ち直れない少年ジョシュア・ビール。
おじいちゃんが着てた服を着て、座ってた椅子に座り、ぬいぐるみに囲まれて寝る。朝がとびきり弱くて、ママに担がれ着替え、パパに抑えられながら歯磨きしてもらう。突然暴言吐いたりしちゃうけど、シニカルで真面目な控えめ男子。
彼が通うのは男子校のミッションスクール。お姉ちゃんは隣の女子校に通う。
やんちゃな親友デイビッド、ぽっちゃり汗っかきフランク、いじめっ子のフレディ等、個性豊かな旧友に囲まれている。そんな彼はある日思い付いた。「そうだ、神様を探そう。天国にいるじぃじが、幸せかどうか聞くために…」

じぃじとジョシュアのほほえましい関係性ももちろんだが、旧友や先生、隣の女子校に通う初恋の女の子ホープ等、学校関係者に悪い印象のまま終わる人が誰もいなくて、ジョシュアの奇想天外な試みをみんなで見守ってる感じが良かった。
それに、神様を探して躍起になるジョシュアを前に、「僕は神様なんて信じないね。悲しい出来事が多すぎる。」と言ってたデイビッドも、「神様探してるなんて変なの。」と言ってたホープも、みんな最終的に、「神様探しは続けて。必ず見つかるから。」と言ってたのが興味深かった。それも、色々やってもダメだから諦める決意をジョシュアが下した時に。それは、彼らが奇跡を体感したから。偶然ではない奇跡によって、命を救われたり人に出会ったりしたから、信じざるを得ないことになったのかも。でも、そう言う人がいるからこそ、バカにされてた「神様探し」が一転、尊いものに思えてくる。
ジョシュア自身が神様探しを通して、じぃじとの思い出に向き合い、様々に感じて考えることで、自分が避けてた子、いじめられた子に、真正面から向かう姿が眩しかった。

それでねー、涙が溢れたのはやはり徒競走のシーンだなあ…
じぃじの病気と残された命の期間が分かって、じぃじに走る姿を見せられるのはこれが最後かもしれない、と意気込むジョシュアは、途中で転ける。まだジョシュアがコース途中で疼くまってるのに、順位を読み上げようとするシスター。じぃじは、「まだゴールしてない子がいます」と。立ち上がり、泣きながら走るジョシュア。腕を広げるじぃじ。そこに飛び込むジョシュア!!ああああああぁぁ(泣)
大きなじぃじのガッシリしたハグは、一生忘れないね…ってグッときた。。後ろのエキストラのおじさん、泣いてなかった?笑

生きてる者は少しずつ前に進まなくちゃ。
何気ない日々の延長が続くけど、大切な思い出と向き合って、真理を理解した子どもは無敵。

感動なのに、ラストがシラける、なんてレビューも。ベタベタだけど、私はこのラストで良いと思う。
信じること・信じ続けることが大切で、思い出は、埋めるのではなく大切に抱えて生きていく。そして、天使は意外と近くにいて、翼のない者もいるのだと。
直球だけどこれは邦題の方が趣あって好き。
大切な人を亡くしたことのある方なら、いやそうでなくても何かは感じられるはず。色んな人に見てほしいシャマラン作品。
Melko

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