粉末ヘロインを溶かすのにひっくり返した茶碗の高台を使うとか国外産のドラッグ映画で絶対に学べない豆知識なので少しも役に立たないがなんとなく得をした気分になる。
内容は刑事ドラマ仕立ての薬物啓発映画といった感じ。ドキュメンタリータッチが効いていて、三國ら厚生省の麻薬取締官たちの会話、捜査手法、ジャンキーの行動なんかリアルで見応えある。
野次馬のガヤとか音の演出も凝っていた。パチンコのチンジャラジャラでジャンキーの焦燥を表現するとか面白い趣向。新宿ロケも大いに見もの。アーネスト・ボーグナインも特別出演(看板)
基本的には勧善懲薬のお話ではあったが、三國連太郎の普通さ(この普通の男っぷりが素晴らしい)を強調すればするほど彼の手駒となって地獄に堕ちていくジャンキー情報提供者たちの悲惨が際立つ。
その逆説がノワール的。特にオチもない無情なラストがジワジワ染みてくる映画だった。