arch

君に逢いたくてのarchのレビュー・感想・評価

君に逢いたくて(1995年製作の映画)
4.4
敬愛するジェームズマンゴールド監督の処女作。フィルモグラフィーの中でもかなり異質でマザコンデブの片想いを非常に息苦しく描いています。パッケージや売り文句から想像するリヴタイラー推し映画という訳では無い。
田舎町のレストラン、母の個人経営の店で働くデブのヴィクター。出会いもない、会ったところで無口な彼にアタック出来る勇気があるはずもない。そんな彼の元に大学進学を諦めたリヴタイラー演じる女性が現れる…というのが大まかなあらすじだ。

本作、びっくりするのがコメディー要素が一切なくめちゃくちゃ暗い。田舎町特有の閉塞感が息を詰まらせるし、そこに母の死が降りかかり笑顔なんて一切出てこない。リヴタイラーはその中でも「開けた未来に戻っていく存在」であが、ヴィクターと一緒になることはないので最後に別れを告げていく。
本当に救いがないのだ。健気なデブが報われるわけでもこちらを笑わせる訳でもない。大抵こういうキャラはピュアな感じを売りにしているが、口を開くと意外に口が悪かったり、『LIFE』もびっくりするような暗い妄想としてリヴタイラーを登場させたりする。
彼らが飛行機を眺めるのも象徴的で彼らは飛び出せない存在でこの先何かが好転することはないのだ。

だが最後の最後、彼はレストランの外で女性と出会う。陰鬱な閉塞感が一気に開けたような感覚に襲われるラストになっているのだ。
想像以上にかなりビターな終わり方をする映画でした。
arch

arch