こうだい

エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPEのこうだいのレビュー・感想・評価

3.7
「”現実との類似に関わらずこの物語はフィクションです”」
この一文からこの映画は始まる!

あえて先に書きますが、
この物語はあくまでもフィクションです。しかし実際に似たような汚れた”システム”があるのだろう。
この作品はブラジルの闇、ブラジルの抱える大きすぎる社会問題の提起をしているのだ。

【内容】
舞台はリオ・デ・ジャネイロ。この街のスラムでは、毎日のようにギャングと軍警察の攻防が繰り広げられていた。ナシメント中佐(主人公・BOPE《ブラジルの特殊部隊》の司令官)は刑務所で起きた暴動を鎮圧するためにBOPEを派遣するが、一瞬のトラブルから、暴徒をその部隊の大尉が射殺してしまう。警察内部から大バッシングを受けることになるが、逆にブラジル国民からは英雄的行為であると賞賛され、ナシメントはBOPEを外される代わりに公安局の次官として昇進する。その後その立場を利用して、BOPEを増強し、リオデジャネイロから麻薬の卸元を一掃して、ギャングの資金源を断つことに成功する。それでギャングと結びついた警察の汚職も無くなると思っていたが、汚職警官たちは直接スラムを支配するようになり、金を稼いだ為、そこに政治家まで加わった最悪の”システム”ができてしまう。ナシメントはこの汚れた”システム”を破壊する為立ち上がる…!

これがまた妙にリアルなのだ。
複雑に絡み合う人と金…。
この作品からは、「人は置かれた状況によって大きく左右される」という事が伝わってくる。
それぞれの立場があり、お互いが影響を及ぼし合っている…。しかも置かれた状況を自分の手で変えるのは非常に難しい事である。

冒頭のシーンに結びついた時は鳥肌が立った。
そして、常に悪はいる、排除してもまた次の悪が出てくる。それこそが現実なのかもしれない。

ただのアクション映画ではない、とてもメッセージ性の強い作品だと思う。
こうだい

こうだい