このレビューはネタバレを含みます
日本語を知っている男とその男から日本語を習う女。二人は廃墟でいちゃこきながら写真を撮りあう。
そこで見つけた「入口」と「出口」と書かれた壁の落書き。落書きには奇妙なポーズが書かれていた。
ある日、写真を現像すると、その奇妙なポーズが映し出された一枚を女が見つける。
女が「入口」と書かれたポーズをすると、急に「生命と文明の本質は何か」と日本語を喋りだす。そして、脈絡のない日本語を語りだしたかと思えば、奇怪な行動を取る。
女は「出口」のポーズを取ると、その奇怪な現象はなくなる。
これは「チャンネル」とか「口寄せ」とかその手の類の通信手段だった。
消えた女を追って謎の日本人「ヨコシマ」に会うことを望む男は、引き寄せられるように
女の格好をした男の声の持ち主に出会う。
だが、男は謎の力を得ることは出来なかった。人の心にある文明的な制御が、新たな価値観や世界を無意識に拒否したのだ。
男は「生命の本質はなく、文明の本質は制御」と言われ、物語は終焉する。
彼は女の言葉をどのように受け止め、どのように昇華したのか誰にも分からない。