緑青

クライム・キーパー/香港捜査官の緑青のレビュー・感想・評価

3.8
女性主人公がかなり体を張ったアクションをするシリーズの第4弾。1と2は主演がミシェル・ヨー(当時の姓はキング)さんだったらしい。主演のキャラクターが、敵や同僚に対して一歩も引けを取らない堂々とした振る舞いで大変良かった。
そしてドニーさん。ドニーさんですよ。映った瞬間「若……」と声に出た。マーシャルアーツをバキバキにこなす90年代ルックの暴力刑事ドニーさん、最高だった。映像や演出に飾り気がない分、シンプルな身体能力の高さ、圧倒的なアクションのセンスを見せつけてくる。動きの精度、解像度が異様に高い。拳をぐるぐる回すクセや、蹴りの速さや、あらゆる表情の作り方がこの頃から健在で、しみじみとアガった。
こうして見るとユエン・ウーピン作品のアクション設計の遺伝子がドニーさんの今の設計にも生きているんだなと感じる。わたしはロングショットで高低差のある長めのパルクール・チェイスが大好きなのだけど、ここですでにやっている。カメラのカット割をかなり絞って、長回しで技の掛け合いを見せてくれる。すごく際どいことをシビアにやっているのに状況の設定にちょっと夢があるというか、どことなく作り込まれた優美さがあるというか、ツイ・ハーク監督の言葉を借りるなら「ロマンチック」だ。なるほどなぁ、と思った。

この手のストーリーの、普段の習慣や評判を利用して追い込まれる展開がわたしは割と好きで、観ていておもしろかった。かなり笑えるところもあり、一転してグッとエモーショナルなシーンもある。敵のキャラクターも良い。最後にポンと出てきた、長髪を後ろで括った敵のキャラクターが異様に濃かったし最高にアクションが良かった、どなたなんだろう。CIAがらみの設定はびっくりした。攻めてんなァ!
あと時代の趣向か、全員ZARAで揃えたみたいな衣装で好きだった。今、時代が戻ってきていてオシャレに見える。

ドニーさんの役名が「ドニー」で、マイケルさんの役名が「マイケル」なのもポイント高いです。勢いあまって円盤を買ってしまった……また観ます……。
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