このレビューはネタバレを含みます
人違い系サスペンス映画の大傑作
翻って、アルフレッドヒッチコック特集2作目。
まさかの人違いで誘拐される羽目になった広告マンのケイリーグラントが、謎の組織やらCIAの攻防に巻き込まれていくという筋の、人違い系サスペンスアクション大作。
ボーイの声かけに反応したという一点だけで人違いをしたうえ白昼堂々と拉致していくおバカな部下たちや、終盤の監禁部屋になんで窓が開いてるんだとか、荒唐無稽な感もありつつも、話が二転三転していくスクリューボールコメディ的展開や、終盤の屋敷パート辺りのバレるのバレないのサスペンスパートはさすがヒッチコックといったところ。
よく考えたらチンピラの部下なんてその程度の方がリアルか、とも思うし、あのオカンのおかげで序盤のエレベーターのシーンは笑えた。
国連での殺人容疑の一幕も、ナイフを思わず抜き取ってから写真をすっぱ抜かれるまでのテンポ、構図ともにやっぱり素晴らしい。
そして今作の代名詞ともいえるトウモロコシ畑のシーンは、白昼堂々と何やってんのとちょっと笑ってしまうところもあるけれど、やっぱり素晴らしい。
個人的にはその前段階の、キャプラン待ちの間の取り方、引っ張り方なんかも絶妙で上手いなと感心した。
それから先も触れた屋敷パートでのサスペンスは、目線やジェスチャーの端端を拾っていく映像描写や、とにかくコントロールが悪いケイリーグラントのお陰でハラハラさせられるマッチ箱の件など、やっぱりこの辺の小技が抜群に巧い。
サスペンスの神様と呼ばれる所以か。
でまたここでも、マクガフィンたるUSBの内容には一切触れずにあくまで純然たるマクガフィンそのものとして扱うところなんかも、思い返すとかなりヒッチコックぽいなと思えた。
ラストシーンのカットもなかなか洒落てて良かったし。
てな訳で、明らかに面白い娯楽アクションサスペンスの名作でした。
余談、ラシュモア山を恥ずかしながら今作で初めて知ったので、火影岩やんけ!とびっくりした。
これからそういう世代、増えてくるんとちゃうかな。