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復讐無頼・狼たちの荒野のHKのレビュー・感想・評価

復讐無頼・狼たちの荒野(1968年製作の映画)
3.3
メェキシコォ~♪ メェキシコォ~♪(エンディング主題歌)
その昔(40年以上前)、モリコーネのマカロニ・オムニバス・サントラが欲しくて、国産のLPだけじゃ満足できず輸入盤に手を出し、イタリアのモリコーネ・マカロニ・ベストアルバムを通信で購入(渋谷の「すみや」で)。
その二枚組LPの1枚目両面はレオーネ作品からそれぞれ数曲ずつのベスト・セレクト。
2枚目両面はその他のマカロニウエスタンの主題曲集。
なんせ全てイタリア語なので、レオーネ作品の他はどの邦題の作品の曲か全くわからず、今頃になって聞き覚えのある作品に出くわしたりするわけで、その中の1曲が本作でした。

本作もなんだか仰々しいマカロニ邦題がついてますが、原題は“Tepepa(テペパ)”。
“テペパ”はトーマス・ミリアンが演じる主人公、メキシコ革命の闘士の名。
本作はメキシコ革命の戦乱を背景にしたマカロニウエスタンで意外と真面目な作風。
本作の2年前に製作されたジャン・マリア・ヴォロンテ主演の『群盗荒野を裂く』に、登場キャラやラストも含めちょっと似たテイスト。

耳に残るモリコーネの曲とともに、クラシックカーと謎のイギリス人医師(ジョン・スタイナー)の様子が鮮やかなカラーで淡々と描かれるオープニングが印象的。
ダスターコートにゴーグル姿のスタイナーが車で処刑寸前のテペパを救出するくだりは、同じメキシコ革命が舞台のレオーネの傑作『夕陽のギャングたち』にそっくりですが、こちらが先。レオーネが気に入って自作に取り入れたのかもしれません。

政府軍側の悪役高官はなんとオーソン・ウェルズ。
『007/カジノ・ロワイヤル』に出て手品をしていた頃でしょうか、でっぷり太った体を軍服に包みメキシコ人風の陽に焼けたメイク、エミリオ・フェルナンデスをちょっとだけ知的にして、さらに胡散臭くしたキャラを怪演。
ウェルズもマカロニで出稼ぎしていたとは。

自分の父を殺したテペパではなくイギリス人に銃を向ける少年が次代のテペパとなることを暗示したようなラストも含め、風変りなテイストのマカロニウエスタンでした。

観終わった後もモリコーネの曲が脳内リフレイン。
ミリアンは翌年もメキシコ革命が舞台のコルブッチ作品『ガンマン大連合』に出演してます。
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