いずぼぺ

アルマジロ アフガン戦争最前線基地のいずぼぺのレビュー・感想・評価

3.6
デンマーク軍のアフガニスタン国際治安維持部隊に7ヶ月間密着したドキュメンタリー。
2006年ごろの取材のようだ。先週来からのアフガニスタンに関する報道を思うととても複雑だ。

本作はアフガニスタンにおけるテロ組織との闘いを主眼にしているのではなく、
派遣された若者たちにテーマをおいている。
志願兵とのことだったが、最前線基地に送られた彼らの顔には幼さも残るニキビ顔。映画に出てくるような筋骨隆々でもない。ヒョロリとした体つきの少年と青年の間のような「男の子たち」だ。
アフガニスタン派遣を家族に伝えるときの「冒険したいんだ」の言葉に、一瞬で家族の顔がくもる瞬間や空港での見送りシーンは親目線で心が苦しくなる。
半年間の派遣中は主にボディカメラで撮影されているので、こちらも小隊の隊員であるかのような気分になる。
どこかボーイスカウト気分が抜けず、緊迫感に欠ける彼ら。向こうは元気いっぱいだかが、こちらが不安でいっぱいになる。しかし、日を追うごとに負傷者や戦死者が出はじめて彼らの表情も変わっていく。戦う理由を考えるにはあまりにも彼らは若い。作戦をこなし、目の前の危険を回避するので精一杯だ。

淡々と彼らの派遣期間を追っただけの映像なので単調だが、思うところは多かった。

あんたたちは武器を持ってきて、帰って行く。その後、俺たちは首がとぶかも。

現地で協力を願い出たデンマーク軍に対してのアフガニスタン村人の言葉である。あの輸送機に群がる映像が頭をよぎった。
報道で識るだけだが、アフガニスタンには多くの国が関わりすぎた。もう誰の正義、誰の理屈でこの国が動き出せば平和になるのか想像もつかない。
子どもが当たり前に大人に成長し、自分の生まれた国で幸せになる権利が平等にあるはずだ。
毎日、アフガニスタンのニュースが気になる日々です。私には何もできない。それはわかってる。しかし、パッチアダムス先生の言葉を借りれば「無関心こそ最大の敵」なのだ。だから、何も出来なくても気にかけることは多いにすべきなのだ。
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