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幸せなひとりぼっちのalmosteverydayのレビュー・感想・評価

幸せなひとりぼっち(2015年製作の映画)
4.0
序盤は本当、絵に描いたようなクソじじいっぷりがひどくてそこにイライラしちゃって仕方ないんだけど、クソじじいがクソじじいのまま何ひとつ悔い改めることなく、ぽつりぽつりと気を許せる相手にだけ心を開いていく過程がよくて、とてもよくて。

ああそうか、このじじいはクソじじいってことでまず間違いないんだろうけど、クソはクソでも一本びしっと筋の通ったクソじじいなんだ…と変に納得させられてしまう安定感とツンデレぶり。もし隣んちに住んでたりしたら絶対敵に回したくない、しかし味方につけてしまえばものすごく心強い、そういう依怙地で偏屈なじいさんなのでした。

妻の死を受け入れられず、毎週のように墓を磨き花を手向けて「今日こそそっちへ逝くから」と決意を新たにするもなかなか死ねず「明日には」が「近いうちに」と変わっていく。三途の河を渡りかかるたびまぶたの裏を駆け巡る走馬灯は、やがて隣人へと語りかける思い出話になっていく。様々な伏線が絡み合ってクライマックスへと向かっていく展開、とてもよかったです。若き日の奥さまを演じた女優さんの笑顔が輝くばかりに魅力的で、そりゃもうダンナも心底惚れるわ生徒も懐くわと思いました。説得力がすごい。美しきかな夫婦愛。
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