an0nym0us

幸せなひとりぼっちのan0nym0usのレビュー・感想・評価

幸せなひとりぼっち(2015年製作の映画)
3.6
アフター・ウェディングのロルフ・ラッスゴード主演だったので手にしてみた今作。

妻に先立たれた偏屈なオジサマが死の欲動に囚われつつも、隣に越してきた家族たちや街の人々との現在の交流の中で過去を振り返り、死ねない理由を増やしていくヒューマンドラマです。

内容的にはありがちで、予定調和的なストーリーではあるけれど、しっかりと心に訴えかけてくる良作。

背後に遠ざかっていくネイディーンみたいな青い過去。どんどんと目の前に近付いてくるのが今作…って対比もできました。

その両方が、人との繋がりが自分に与える何かを見せてくれました。普遍性のあるテーマですよね。

考えてみるとREDが2010年、翌年にマリーゴールドホテル…高齢者にスポットを当てた作品が出てくるようになって、たかだか10年に満たない期間で、社会に対する警鐘となるような作品が多くなりましたね。

ダニエル・ブレイクやマイ・インターン。テイストは違えど、その2作と今作の共通項として、新時代の環境やインフラとそれに対応できていない高齢者の描写が盛り込まれています。人間関係も然り…でね。
マイ・インターンみたいなら理想的なのに、現実は色々と足りてないですねぇ。

前に渋谷の駅でご老人に道を尋ねられた時に看板を見て思ったのが、外国人用表記は充実していても、高齢者用って思えるものは見当たらないな…って感じた事です。渋谷駅は階段も急だったりしますしね。エレベーターを使えと言っても、随分と遠回りになるな…とか、不親切極まりない。

問題は彼らじゃなく、どんどんと数的マジョリティになる高齢者の利便性を考えないで進む変化や、それを気に掛けない私達世代なんですよね。優しくない世界だ(*´-`)

アナログには立ち還れなくとも、高齢者への配慮がされた新しいインフラ整備はできるはず!今後の自分たちの課題を考える意味でも、多くの人に観られるべき作品。

私たちはもっと、心を使って考える必要があるんでしょう…

そういった事ばかり頭に浮かんで、物語そのものに入り込めなかったのが残念(^_^;)
書けないで悩んでる作品ばかり増える。
an0nym0us

an0nym0us