ロカ

幸せなひとりぼっちのロカのネタバレレビュー・内容・結末

幸せなひとりぼっち(2015年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

まず驚いたのは、オーヴェの死まで描かれていたこと。
なんとなくこういう、いくつもの悲しみを経験したおじいさんを巡る暖かい話の結末は、“その後おじいさんは隣人たちと幸せな余生を送りました。完”となって、主人公の死までは描かれない、あるいは描かれたとしもナレ死だとか、ぼかされて描かれるイメージが自分の中で強かったからだとすぐに気付いた。

人生についての物語は、人と人との触れ合いとそこから生まれる温かさは、他者を喪失する痛みと悲しみを抜きには本来語れないものだ。
痛みも悲しみもネガティブなものとして蓋をしたり排除されがちであるが、これらは人を愛することと表裏一体の存在。
傷付き悲しむことは、やるせなく怒りを露わにすることさえ含めて、誰かを愛しているということ。
すべて大切で愛しい。

そんな気付きを、この悲しくも暖かいスウェーデン映画から貰えた。

こじんまりとしていて趣味のいい素敵な住まいや、人種の異なる移民が当たり前に溶け込んでいる日常風景も、北欧らしい長毛種の猫も、とても魅力的だった。
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