ネモタス

ダドリーの大冒険のネモタスのレビュー・感想・評価

ダドリーの大冒険(1999年製作の映画)
3.3
ちっちゃな頃から騎馬警察官になりたかったダドリー。
念願かなって小さな町を任されるものの、幼馴染みの悪党スナイドリーが町の人たちを追い出してゴールドラッシュをでっち上げ、金儲けをし始める。
それに立ち向かうはダドリー……のはずが、愛馬も制服も彼が思いを寄せるネルも失ったからさぁ大変。
果たしてダドリーは正しい行いを全うできるのか!?

と、あらすじだけ読めばめっちゃ泣ける話になりそうだが、その燃えるポイントをことごとく外したもったいない作品。

ダドリー目線で話が進みすぎているため、スナイドリーのでっち上げゴールドラッシュの悪事で困る民衆の描写が薄い。
そのためいくらダドリーが頑張っても「でもみんなそんなに困ってないみたいだし……てか逆に活気溢れる町になってるからいいじゃん」と思ってしまう。

騎馬警察隊の装備である制服や馬を無くしても、ダドリーが正義の心を失うことはない!
その心を持つことこそが、警察隊に一番必要なことなのだ!
それでこそDUDLEY DO・RIGHT(正義のダドリー)なのだ! みたいなメッセージがあれば、もう大傑作確定だったんだけど……。

すべて失ったダドリーは"危険な男"として悪事を働くこと(とはいえ悪党スナイドリーの金を奪うことなので結局はいいことだとしても。トイレットペーパーでスナイドリーの庭をめちゃくちゃにするのは悪いことだけど)を学び、その延長線上でネルが彼に心を奪われるという、DO RIGHTのかけらもない話だった。
(しかし原作のアニメでは、ネルはダドリーのことを"いい人過ぎて愛せない"と思っているらしいので(Wikipediaを参照しました)、悪党スナイドリーに惹かれ、次に悪事を働くダドリーに恋い焦がれる展開は、まぁ原作通りなんだとあとから知った。だがそれならネルは悪い男が好きという描写をもう少し入れないとダメだろう。唐突すぎる)

いなくなった愛馬(名前はホース笑)も、なんかいきなりポッと戻ってくるしで、全く意味をなしていないのがもったいない。
すべてを失ったダドリーが、それでも立ち上がり、世のため人のため、スナイドリーと戦う決心をしたところでパパーンと戻ってくるとかそういう演出がほしい。

すごく馬鹿馬鹿しいしわざとらしいかもしれないけれど、アニメをそのまま再現したようなコテコテのギャグを全編に散りばめている本作ならば、正義の行いも大仰でストレートでやりすぎなまでやった方が絶対いいと思う。
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