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劇場版 空の境界/第一章 俯瞰風景のTELのレビュー・感想・評価

4.2
<原作の雰囲気が見事に映像化>

空の境界は7章構成の作品ですが、すべて映画館で観ることができたのは本当に幸運でした。その中の第1作目がこの「俯瞰風景」です。個人的には映像表現はもとより音楽、雰囲気、空気感など作品すべてが大好きです。

第1章は巷で起きている連続する不審な死について真相を追い求めるという内容。真相に近づくに連れて巻き起こる戦闘シーンの映像表現力は凄まじい迫力。廃墟のような都会の中の団地風景であったり、夕方から夜にかけて移り変わる背景美術など、映像美に目を奪われました。

内容はかなり難解ではあります。連続自殺の真相、主人公である両儀式の取り巻く環境、魔術師に師事する意識を失った黒桐幹也。一回観ただけでは理解することは到底不可能。だからこそ何度も観て徐々にわかってくる歪で美しい世界観を心の底から楽しめると思うんです。

だって、この第1章含め空の境界という作品は「奈須きのこの描く世界」をある程度理解していないと入り込めない内容です。完全に視聴者を置いてけぼりにします。登場人物の紹介なんてものはなく、どんどん話は進み急に事件が起きそれをさっそうと解決し終わります。

なので、ある程度奈須きのこの世界観を知っていないと楽しめないと思います。少なくともFateはゲーム含めて知っておいたほうが良いですね。あわよくば、月姫、魔法使いの夜も知っておいたほうが良いかもしれません。

そんな迷作ならぬ名作たる当作品をもっと多くの方に楽しんでもらいたい、そう切に願います。キャラクターや作品の世界観がとにかく素晴らしいのでまずは一度ご覧になっていただきたいなって思います。


※Fateよりも月姫よりも空の境界が好きなので、ぜひ新しい作品を作って欲しいなって思ってます。
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