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焼け石に水のsato4のレビュー・感想・評価

焼け石に水(2000年製作の映画)
4.4
【2021年83本目】
フランソワ・オゾン監督作品は近年のものよりも初期のこの頃の作品が肌に合う。中でもこの『焼け石に水』はライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの戯曲が原作の大好きなヘンテコ映画。公開当時に鑑賞して、DVDも持ってるのにわざわざ観に行ってしまった。『Summer of 85』公開記念で1週間だけ再上映してくれたル・シネマに感謝。

登場人物4人のみの会話劇かつ室内劇で、窓の使い方が印象的。カップルの恋愛(とセックス)をテーマにした作品で胸糞映画的な側面もあるけれども、人間についてとても考えさせられる内容だ。自分もレオポルドのような傲慢な振る舞いをした事は無いか、フランツのように心の底から傷ついた事は無いか、ヴェラのように愛に盲目になってしまった事は無いか、アナのように後先考えずに無邪気な行動をした事は無いか……初めてこの作品を鑑賞した20年前には様々な思いが頭の中をグルグルしてしまった記憶が。

印象的かつ好きなシーンは沢山あるが中でも日本版のメインビジュアルになっている「僕とサンバを踊ろう」に乗せたダンスシーンが特にお気に入り。4人の物語の中でのテンションとダンスのノリが連動しているところが可笑しい。映画の中でいきなり踊り出すシーンで一番好きなのはゴダールの『はなればなれに』の有名なダンスシーンだけれども、本作のダンスはそれに続くくらい大好きでいつまでも記憶に残る。
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