ミシンそば

地下室のメロディーのミシンそばのレビュー・感想・評価

地下室のメロディー(1963年製作の映画)
3.6
普通に生きていれば一度は耳にするようなジャジーなBGMの調べとともに、老獪なギャバンと血気盛んなドロンが南仏でデカい金庫破りをしようと画策する、スタイリッシュ強盗ものとでも言うべき作品(再鑑賞)。
ヴェルヌイユの最も知られたこの映画は、娯楽作品としての完成度は極めて高い。
様々な後発作品に影響を与えているのも得心がいく。

ラストシーンの哀愁・空虚さだけがずっと頭の中に残っている状態での再鑑賞だったので、ドロンがやや寄り道(という名の色恋)しがちな点を除けば、作中の経過は順調に作戦が進行していたという印象を受ける。
それから、耳に残るBGMはいろんなバリエーションでかなり擦られていた(いい曲ではあるけど)ので、結構忘れてるなって思いもした。

この作品、出演者や演出などの煌びやかさで覆い隠してはいるけど言いたいことは実に単純で、結局悪いことはできないってことなのは明白だ。
計画を実行に移すまでに描写されたかけがえのないものを捨ててきてまで、シャルルとフランシスが得たのは途方もない徒労とやがて来る裁き…。