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地下室のメロディーのsayuriasamaのレビュー・感想・評価

地下室のメロディー(1963年製作の映画)
4.0
クラシカルでシニカルなジャンギャバンによる「オーシャンズ3」

現在bunkamuraルシネマで開催中のアランドロン映画祭。その中で本作『地下室のメロディー』を選択してきたのですが...なんと満員御礼。やっぱに人気ありますねー

ストーリー:ギャングのシャルル(ジャンギャバン)は、自分の老いを感じ引退を決意する。最後の仕事として、南仏カンヌのカジノの地下金庫から10億フランを盗み出す計画を立てる。もはや一人でできるほど若くはないと悟ったシャルルは、ムショ仲間で不良のフランシス(アランドロン)とルイの3人で計画を実行することにした。フランシスは裕福な青年のようにふるまい、カンヌのホテルに滞在中、情報を集めたり、裏口に近づくためスウェーデン人のカジノの踊り子と親しくなったりと着実に計画を進める。
いよいよ金庫破りを実行、一応成功するのだがひょんなことから計画にほころびが見えはじめ...
最近のスリルある犯罪ものを見慣れていると少しテンポが悪いようには思います。利用しているダンサーの彼女との交際のシーンも結構長いですし。しかし、ジャンギャバン演じる親玉の渋さとアランドロンの若々しく反抗的な魅力がモノクロ映像でも十分に伝わってきます。

今でこそ素肌にワイシャツ着たり、ジーパン履いたり、プールサイドで日光浴したりすることは珍しくはないですが、公開当初は本当にかっこよくて、最先端のおしゃれな遊びを体現してたことでしょう。また女性たちのファッションも素敵でした。
アランドロンも、不良青年のだらしなさ、ジゴロぶってリゾートで女性に接近する美しさ、どこをとってもかっこよかったです。強盗する目だし帽姿でも瞳はとても美しかったです。

ただ、強盗ものとしてはあんまりすっきりしません。完全犯罪っぽくはないですし。ラストに向かうキリキリとした緊張感とラストのやるせなさは最近の映画では味わえない感覚ですがこれが好きかどうかは完全に好みになってくると思います。

しかし、この映画の雰囲気を締めているのはジャンギャバンの迫力と渋さです。味ありますね。
そして有名なテーマ曲は軽快でゴージャスでした。
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