うめまつ

地下室のメロディーのうめまつのレビュー・感想・評価

地下室のメロディー(1963年製作の映画)
3.8
何処を切り取っても軽妙洒脱。聞き覚えのあるモダンジャズ、洗練されたモノクロ映像、カラッと乾いた空気感、鏡ごしの気の利いた構図。そんな軽やかな画面の中を、1人のそのそと歩く重厚感満載のジャンギャバン。あぁ無駄に言いたいジャンギャバン。渋い。渋過ぎる。

対するアランドロンは付け入る隙のない色男。埃まみれのタキシードに目出し帽被っても絵になる。「俺の視線だけでメロメロになる女が山ほどいる」にぐうの音も出ない。ダクトを這うシーンの格子状の影から覗くギラついた眼が鮮烈。ハラハラから一転、虚脱感に襲われるラストは間抜けなのにスタイリッシュという凄技。ドロンの悲哀に満ちた表情が、壮大な叙事詩の幕切れかのように錯覚させる。実際は「やっちまった。。」って顔してるだけなのに美形って得だな。
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