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下女のTSのレビュー・感想・評価

下女(1960年製作の映画)
4.1
【内部から崩壊していく家庭】86点
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監督:キム・ギヨン
製作国:韓国
ジャンル:犯罪
収録時間:108分
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こんなジャケットにタイトル、気にならないわけがない笑 調べたら、韓国映画史上最高の作品だそうです。このジャンルの作品が最高傑作というのもやや恐ろしいのですが、ともあれ作品自体はかなり面白く、パワフルでした。下女とは今では差別的な用語なので安易に使用できませんが、いわゆる家政婦のこと。この下女であるミョンジュが主人公たちの家で働き始めたことが、全ての始まりであったのです。

紡績工場に勤める女工たちは、合唱部の講師であるトンシクのレッスンを定期的に受けていた。トンシクに恋心を持つ女工のギョンヒは、自分の代わりにソニョンに彼へのラブレターを書いてもらうのだが。。

まあこの二人は大したことないのですが、ギョンヒが連れてきた家政婦のミョンジュがヤバすぎたのです。ミョンジュにも愛されるトンシクはモテモテなのでちょっと羨ましい限りですが、それが災いして家庭が崩壊していきます。
今作はストーリーもさておき、雰囲気、カメラワーク、音楽も一級品であると言えます。特に音楽はクラシックサスペンスならではの緊張感溢れる曲調であり、見る者を不安にさせます。このモノクロの感じもよく、ミョンジュの不敵な笑みの不気味さが最大限に生かされています。このジャケットに映る女が誰に当たるのかは伏せますが、最後まで固唾を飲んで観れる作品であります。

今作の製作は1960年。朝鮮戦争が終わり、韓国も少し落ち着いてきた頃。富裕層が家政婦という人を雇い、不自由ない生活をする人が出てくる時代でもあります。その恵まれた家庭に入り込んでくる哀れな存在。まだまだ格差が残っているものだなとも感じ取れました。

全編に渡り何か異様なオーラが醸し出されているクライム映画。ヒッチコックの作品が好きな方などには特に合うんじゃないでしょうか?
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