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下女のbのレビュー・感想・評価

下女(1960年製作の映画)
4.0
2018年この階段が怖い第1位!
2018年この厭さがすごい第1位!
2018年この煙が妖しい第1位! 
2018年このガキが憎たらしい第1位!
堂々の4部門同時受賞。

《階段に殺される!!映画》

一応あらすじ的には、あるブルジョア一家が雇った家政婦(下女)が、その一家の主人と関係を持つことで次第に一家に波乱が巻き起こるテオレマ型映画。

大林宣彦監督作『HOUSE』ではピアノに人が喰われて殺されるドラッギー極まりないシーンがありましたが、本作では家の中に普通に存在していながら、不意に足を滑らすなどで命を落としかねない階段というものの恐怖、潜在的殺傷性の高さを思い知らされます。本作の階段、恐ろしいことに劇中で少なくとも3人殺してます。

誰にも感情移入出来ない登場人物。とにかく厭な人間しか出てこない。例えばドント・ブリーズはクズと狂人しか出てこず誰に感情移入していいやら困った作品でしたが、クズVS狂人の構図となった場合流石に狂人よりはクズに同情するという形で感情移入出来ました。が、本作は本当に誰にも同情出来ない。これは中々珍しい。ただ、そのおかげで不快感、厭さのオンパレードで良かったです。

とにかく本作、女性が酷い目に遭いまくる内容で『下女』というタイトルの厭さ(言葉自体厭だが)。
男の底抜けなクズさが逆説的フェミニズムに感じなくもないがどうなのか....。象徴性を感じさせる女性が階段から引き摺り下ろされるようなパケ写のショットに微かな救いがあるのかも知れん。ただ、時代的に単なる女性蔑視という可能性が高い気も。
しかしながら、ラストのあるブッ飛んだ演出によってそれまで描かれた儒教的倫理観を相対化させ茶番劇のように思わせる効果がある気がします。それを狙った..のかも....!?
何にせよあの演出は取って付けた感があってちょっと残念な気もするけど、逆に怖いというか『悪い種子』のカーテンコールのような薄気味悪さが良かったです。

最初の窓の格子越しに部屋を眺めるショットが栗鼠の籠を思わせるが、籠に入った栗鼠が象徴するものは家族という共同体そのもの?それとも家庭に囚われた女性?

正直、韓国映画で最高傑作みたいな位置付けらしいがそこまで完成度が高い作品には思えなかった。むしろカメラワークや演出がカルト映画的で、話運びもなんか変だし....うーんイカれた映画!!(褒めてます)。
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