らくだ

26世紀青年のらくだのレビュー・感想・評価

26世紀青年(2006年製作の映画)
4.5
「バカは後先考えずに大量に子供を作り、インテリは慎重だからあまり子孫をたくさん残さない」というなかなかギリギリを攻めた理論によりバカだらけになってしまった500年後のアメリカで「超平均値の普通の人間」として21世紀の冷凍睡眠装置の実験台から目覚めた男が、相対的に国で一番賢くなってしまったことで成り上がっていく…いくのか?…という、ある意味では異世界転生無双モノなコメディ映画です。


この「バカになってしまったアメリカ」はゴミ問題、環境汚染、食糧危機、大不況などたくさんの致命的な問題を抱えた極限の世界なんですけど、それ以上に社会の描写がかなりバカで、
「完全に風俗店になってしまったスタバ」
「超巨大コストコ(思ってるよりでかいです)」
「水道水や農業用水にスポーツドリンクが全面的に使われている(なぜならおいしいから)」
「判決が下ると大観衆が歓声を上げる裁判」
「大統領はプロレスチャンピオンでポルノスター(男としてアメリカで一番強いから)入場BGMもある(スターだから)」
など、枚挙にいとまがないほど考えうる限り最悪にあたまのわるいディストピアで最高なんですよね…ケツが2時間スクリーンに大写しされてる映画が大好評でアカデミー賞を総なめする世界です。イヤすぎる
そこで異世界(未来?)転生した主人公が無双するかと思いきや、あまりに周りがバカすぎてもはや話がうまく通らないのがヤキモキはするのですが、そのもどかしいバカバカしさも含めてドタバタコメディとして楽しめる作品です。登場人物はバカばっかりだけどクズや悪人はそんなにいないというのもあって、そういう不快感はあまりないんですよね。
政治的世間的な風刺も多少含まれてはいるんだと思うんですが、まぁケツがアカデミー脚本賞を獲るような世界観の映画なのであまり深く考えずに観たほうがよさそうですね(笑い事じゃないのかもしれませんが)。最後はちゃんとハッピーな感じで終わるので、後味は非常にすっきりしていました。


あとこれは推測なんですけど、あの世界にもたぶん賢い人たちはそれなりにいて、そういう人は世間のあの感じに関わりたくないから裏でひっそりとコントロールする側に回ってるんだろうな…


邦題はこう、間借りしたかったであろう作品とあまりにも関係がなさすぎるので、なんかもっとうまいことやってほしかったですね
らくだ

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