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不安は魂を食いつくす/不安と魂のsonozyのレビュー・感想・評価

4.0
1974年 独 ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー脚本/監督
カンヌ国際映画祭 国際批評家連盟賞他

冒頭出るのは、"幸せが楽しいとは限らない"
3人の子は独立し一人で暮らす初老の掃除婦エミと、モロッコからの出稼ぎ労働者アリ。歳の差20歳以上の二人がふとしたきっかけで結婚することになる。
不安を感じるエミは、アリの言う「不安は魂を食いつくす」というアラブの格言に勇気を与えられるが、家族、同僚、商店やレストラン...あらゆる場所で人種差別的な視線・嫌悪感を浴びせられ、幸福な二人の関係は揺れ動いていく...

アリ役の濃い髭&片言ドイツ語なエル・ヘディ・ベン・サレムは当時のファスビンダーの恋人とのこと。監督さん、ゲイ/バイなんですね。
エミ役のブリギッテ・ミラは『シナのルーレット』でも別荘の管理人としていい味出してました。独特の目ヂカラ。
出稼ぎ労働者が集まるバーのママ役の巨乳さんバーバラ・ヴァレンティンは『あやつり糸の世界』の秘書役も印象的。クマメイクの効果もあり無表情感が最高。笑

ダグラス・サークの『天が許し給うすべて』のリメイク企画としてスタートし、最終的に大きくストーリーを変えたという本作。
中盤までの常識外・想定外の「愛の形」に対する外圧に対抗する二人の絆と、実は二人の内面に潜んでいた複雑な心情が露呈する後半の展開が面白かったです。
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