なかた

シェーンのなかたのレビュー・感想・評価

シェーン(1953年製作の映画)
3.8
【西部劇の代表作】
・神話的な西部劇形式を論理的に突き詰めた作品
・ジャンルは<旅する天使>
・旅する天使とは、以下のようなもの
 ・問題を抱えたコミュニティに主人公がやってきて
 ・そこに暮らす者たちがその問題を解決するのを手伝い
 ・解決したら次のコミュニティへと旅立っていく
・本作は<旅する天使>の西部劇版で、主人公が農民や村人が安心して家や村を建てられるようにするため、他の戦士たちを相手に戦う

◆概要
雄大な自然が広がる西部開拓時代のワイオミングを舞台に、流れ者シェーンと開拓者一家の交流や悪徳牧場主との戦いを描いた名作西部劇。ジャック・シェーファーの小説を原作に、「陽のあたる場所」「ジャイアンツ」のジョージ・スティーブンスがメガホンをとり、アラン・ラッドが主演を務めた。

◆あらすじ
南北戦争後の西部。厳しい自然や横暴な牧場主ライカーとのいさかいに悩まされていた開拓者ジョーとその家族の前に、シェーンと名乗る流れ者の男が現われる。ジョーの息子ジョーイと仲良くなり一家のもとに身を寄せることになったシェーンは、ジョーの仲間の開拓者たちとも友情を育んでいく。しかしライカーの暴力は日ごとにエスカレートしていき、ついに開拓者の1人が殺し屋に命を奪われてしまう。ライカーとの話し合いに向かおうとするジョーを止めたシェーンは、たった1人でライカー一味に立ち向かう。

◆キャラクターのシンボル
・天使のような主人公と悪魔のような銃使いの対立
・家族的な農夫と独身で冷酷な白髪交じりの牧畜業者との対立
(農夫の名前は「ジョセフ」(聖母マリアの夫ヨセフと同名))
・理想的な妻であり母
(聖母マリアからとられたであろうマリアン)
・銃の腕に優れた彼を崇拝する少年
・主人公は色の明るいシカ皮を身に着け、邪悪な銃使いは黒を身に着ける

◆豆知識
◯西部劇とはアメリカの西部を開拓する話
・ここに警察はおらず、無法地帯
・土地の所有という概念がなく、5年住むと土地を所有出来るというとんでもない決まりがあった
・牛などの放牧も所有ではなく、土地関係なくそのへんを歩き回っていた
・有刺鉄線の発明で、土地という概念が作られるようになる
・その結果、不動産を通して土地を購入した者が現れ、時代が変わっていく
・本作で、「お前の時代は終わった」というのはそういう文脈

◯ハリウッドではなく、実際の西部で撮影された数少ない作品

◯決闘は「正当防衛」
・先に銃を抜くと犯罪になってしまう
・そのため、敵より後に抜き、敵より早く撃つ
・だから西部劇は早撃ちが有名
・証人をつけて決闘を行い、正当防衛の証人を作る
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