広島カップ

シェーンの広島カップのレビュー・感想・評価

シェーン(1953年製作の映画)
4.0
映画史に輝く決闘物西部劇の定番作品。
なんと言っても最後のガンファイトから続くエンディングのエンタテインメントとしての見事さ。

1953年の作品にしては出色の緊張感を生んでいるシェーン(アラン・ラッド)と早撃ちウィルソン(ジャック・パランス)の一騎討ちですが、クローズアップとかスローモーションや音楽に頼らないこのシーンがこれだけ緊張の糸を張ることに成功している理由の一つは、このシーンを解放的な屋外ではなく少し薄暗い屋内(酒場)にしたためか?と思われます。
この二人の決闘にギュットと収束感をもたらすのに効いています。

顔貌や佇まいからは絶対にウィルソンの方が抜くのが速いと観客に思わせる要素もドキドキ感を挙げるのに一役買っています。
黒を基調としたガンマンファッションを纏い、一人猫背で暗い酒場の片隅でウイスキーを煽っているウィルソンのなんと不気味に速そうなこと。
一方で胸の所に縄暖簾みたいなビラビラが付いた優しいベージュ色のガンマンファッションであまり速くなさそうなシェーンでしたが、「このウソつき野郎」とウィルソンを煽って来たのには「おおっ、ついに真剣を抜いて来たなオヌシ」と思わせて決闘気分アゲアゲではないですか。

この両者の決闘の後、死ぬまでに見られるかどうか?トラウマになりそうなくらい凄い決闘を目の当たりにしてしまったラッキー(?)なジョーイ坊や(ブランドン・デ・ウイルデ)とシェーンとの心温まる穏やかな別れのシーンを持ってきて大団円を演出したジョージ・スティーブンス監督、緩急の使い分けに天晴れです。

ラスト。
シェーンはワイオミングの山の向こうに更に山あり谷ありの人生でしょうが、別れ際に「真っ直ぐな男になるんだぞ」とシェーンに言われたジョーイ君の未来にはテーマ曲のような穏やかな人生あれと思わされます。
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