mh

実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)のmhのレビュー・感想・評価

-
犯人たち視点で「突入せよ! あさま山荘事件」の逆バージョン。
中盤の山場である「山岳ベース事件」までの前日譚はナレーションベースでぶっ飛ばしていくんだけど原田芳雄の声が本当に心地良い。テロップ多用でエヴァっぽいけどこちらは別に岡本喜八フォロワーでもないっぽい。
作中に重信房子も登場するんだけど、当時、監督は「赤軍-PFLP・世界戦争宣言」を撮ってる。なにをいってるのかすぐにはわからないわかったとしてもピンとこないその弁舌が遠く日本の山奥でもまた別の若者たちによって繰り広げられていたということになる。
森恒夫と永田洋子が怖すぎてリンチのくだりはほぼホラー映画。中でも、永田洋子がまじこわかった。このあたりはWikipediaを読めば現実でもそのとおりだったみたい。となると「光の雨」はその点ソフトにしてあったのか。
反面、遠山美枝子への虐待はこっちのほうがソフトになっていた。断髪エビゾリで緊縛とか、ちょっと想像の範疇超えている。
「総括をして」「共産主義化をすすめる」「自己批判する」などなど、晦渋であることを優先するかのような独特の用語がすごかった。
弁舌巧みな人間というのはいつの時代にもいるものだけど、この事件の本質って、結局なんだったんだろうね。ソシオパスによる猟奇殺人事件と考えたほうがしっくりきてしまう。
終盤のあさま山荘のくだりは、「突入せよ! あさま山荘事件」に対する怒りが原動力になって企画された映画とのことらしいのに、「突入せよ! あさま山荘事件」を見てないとよくわからない状態になっていた。「(閏年なので)2月29日に死んだら四年に一度しか命日がこない(から、2月28日にやる)」というほぼ同じプロットもあった。
低予算映画であることはわかってるので、それを差し引いてみたんだけど、どっかの教室で撮影したり、いまのファミリーワゴンで車内の撮影してたりするのをいちいち脳内補完するのが、ノイズになってしまってるのがもったいなかった。まあ、日頃からリッチな映像をみている裏返しでもあるんだけどね。
山岳ベース事件はまるで理解できないけど、あさま山荘事件は一転して、すげーよくわかってしまったけど、多分その認識で間違ってないと思う。
見応えあった。面白かった。
mh

mh