ねまる

実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)のねまるのレビュー・感想・評価

3.8
学生運動って、若者が政治意識を持って、自らの意思を示してる点ですごいなと思っていたの。

私たちの世代は政治についてなんて、考えていないから。

でも、違った…
最初は純粋な意思表示だったかもしれない。
けど、だんだん最初の目的とは違った方へずれていくんだ。

一部はリンチ事件まで、二部はあさま山荘まで。

リンチに至るまでは
見てみて途中から胸糞悪いというか、こいつら頭おかしいんじゃない?と思うことばかり。

連合赤軍となって、山岳ベースにきたあたりから、赤軍派と革命左派が互いに相手より自分たちの革命のやり方のが正しいと主張し、意味深な「異議なし」コールから雪だるま式にルールが膨れ上がって行く。

中でも最低のものが「総括」
何が正解なのか全く分からない「総括」なるものを要求され、発言すれば違うと殴られ、発言しなければ自己批判が出来ていないと殴られる。

ただの暴力集団。
死んだとしても、あいつが総括出来なかったからだ。
頭が悪すぎるよ。

赤軍派の森と革命左派の永田は全くもって理解出来ない。

その他のメンバーが違ったか、いやそうではない。
あんなのいじめの原理と同じ。
自分がそうされるのは怖いから、死にたくないから、同調するしかない空気となっていた。

この辺りのシーンはショッキングな映像が多すぎてただただ辛い。

そして物語はあさま山荘へと続いていく。

総括の意味を見失い、暴力的な行為に否定的だったことで、森と永田から次の総括対象者とされていた坂口が、
このあさま山荘事件のリーダー格となって最後の抵抗をしたというのが皮肉。

ここから物語はかなり面白くなる。
ノンフィクションで面白いなんて不謹慎だけど、
人数も少なく、一人一人の心情は分かりやすいし、
彼らが元の意志を取り戻したように見える。

おかしな日本を変えるため、革命を起こす。だから、警察と戦うんだ。

それまでの経過にあんなに気持ち悪さを感じていたのに、彼らのこの想いにはかっこよさを感じてしまう不思議さ。

そう、最初の気持ちは間違ってなかったんだよ。
目的に至る手段を間違えたんだ。

集団リンチへの答えも、自己批判への答えも、彼ら5人はここで見つけてる。
気付いたのは最年少だけど。

2002年という私が生まれた後まで、連合赤軍の残りたちは活動していたと思うと驚く。

若き学生たちが社会に意志を唱え、
戦う意志を決め、
暴力行使、そして革命を求め、
共産主義となり、
次第に道を見失い、選ぶべき選択肢が究極的な方向しか残されなくなっていく…

あれからまだ半世紀も経っていない。
この日本で実際に起きた一つの悲劇。

警察を正義を描いているわけでもなければ、
革命側をよく描くことも悪く描くこともしていない。
坂口の言葉を借りれば、中立、な作品。

この事件を記録した映画として、
後世まで見られ続けなくてはいけない作品。
ねまる

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