イチロヲ

実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)のイチロヲのレビュー・感想・評価

4.5
日本の未来を憂えるあまり、共産思想に傾倒するようになった若者たちが、非人道的なテロリズムを巻き起こしていく。若松孝二のライフワークとも言える、赤軍視点の実録系ドラマ。

1960年から1972年に掛けての全共闘の流れをまとめながら、山岳ベース事件とあさま山荘事件の内部模様を描いていく。政治に介入しようとした若者たちが、共産主義化に努めるのだが、いつの間にか日本の世直しとは無関係の方向に暴走してしまう。

山荘のシークエンスでは、居住者との齟齬が精緻に描写され、60年代の若松作品をセルフリメイクしたような雰囲気が出ている。綺麗に着飾った女性に対して、個人的な恨み節を利かせる永田洋子が、完全にホラーの領域に入っている。

筆者の知り合いに、赤軍以前の永田洋子と同行した経験がある御大がいるのだが、彼いわく「永田があんなふうなるとは思いも寄らなかった」とのこと。あと、筆者自宅の近所に指名手配中の残党が潜伏していたアパートがあったことを知らされて、驚愕している。
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