阪本嘉一好子

キャプテン アブ・ラーイドの阪本嘉一好子のネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます


キャプテン アブ・ラーイドの暖かさは最後まで心に残る。かれは、なぜ、外国語も話せて、教養があるというと、読書が好きだから。子供に夢を与えることのできる人。人の気持ちになって考えられる人。かれは自分の使命が人のために尽くすことだと知っている。アブ・ラーイドは伴侶と一人息子を事故で無くしてから自分の使命がなにか見失っていた時、機長の帽子を拾い、人生に張りができた。それは子供や人の力になることだと思っている。彼の不思議な優しさをもっているから、それが顔に現れる。

最初は子供の煩わしいと思っていたから、『パイロットですか?』という執拗な質問を怪訝に否定していたが、そのうち、子供が集まるに連れて、『ラーイドのした冒険について話して!』と何度も言われるようになる、パイロットのつもりになって子供たちに夢を与えるところがいい。しがない退職まじかなうだつの上がらなそうな老人が急に周りから注目を集める。彼の人生は賑やかな子供との交わりになって、失った家族に問いかける時間がなくなっていった。

私は高校で教えているから高校生などと話すのは好きだが、子供は嫌いだった。特に小学生や小さい子供はあまり好きでなく、お愛想に声をかけるだけだった。まるで、人生を見つける前のラーイドのようだったが、図書館の子供セクションでボランティアを始めてから、子供に寛大になり、人生が少し変わった。まだ、高校生の方が好きだが、子供を理解を示すようになったのは、彼らとまじあうようになったからだ。

この映画で一言衝撃な言葉を発するMuradという子供がいる。母親、そして、この子供は父親からDVを受けていて、全てがネガティブになってしまっている。この子供が、『パイロットになるような人は我々のことを好きじゃないよ;』と。我々とはアンマンの貧困家庭に住んでいるような子供という意味で、上流階級のひとがパイロットのような仕事を持つから、下流階級とは交わらないという意味だ。Muradの人生を変えられたのがライードだった。なぐられて、否定され、認められないMuradの荒んだ心に入っていって、『いいんだよ』とやさしい声をかけてあげるライード。いいシーンだ。


一番好きなシーンはパイロットの女性ヌールがなぜ2000冊も言語や政治や文学などの読んでいて、教養や知識や知恵があるのなぜ、ヨルダンのアンマン空港で掃除夫をしてるのと聞くシーンだ。ラーイドは『He(ライード) who choose the humble life has guidance in his heart. 』と答える。そして、なにか特別なことが起きたので(伴侶と息子の死)、これが自分をこういう違う道に歩ませたと。