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黒部の太陽のodyssのレビュー・感想・評価

黒部の太陽(1968年製作の映画)
3.5
【長らくDVD化されなかった映画】

(以下は、10年前に某映画サイトに投稿したレビューです。現在某サイトは消滅していますので、ここでしか読めません。10年前という時代差を考慮してお読み下さい。)

三船敏郎と石原裕次郎が組んだ有名な映画です。長らくビデオやDVDになっていませんでしたが、近々ようやくDVD化されるとか。私は、東日本大震災への義援金を募るために石原裕次郎未亡人のまき子さんが特別に許可したという上映会で鑑賞しました。見たのは初めてです。

戦後、黒部第四発電所(黒部ダム)を作るためにトンネルを掘る難工事に挑む男たちのドラマです。途中、フォッサマグナの破砕帯にぶつかって、土砂崩れと出水で工事が進まなくなる。そこをどう切り抜けるかが工事の最大の課題であり、またこの映画の見せ場になっています。

それ以外では、石原裕次郎と父親の確執や、妻子を抱える三船敏郎の家族物語が脚本の副次的な要素として盛り込まれています。石原と、三船の娘(樫山文枝)が婚約するというエピソードも。ただし、そこのところは今の目で見るとさほど面白みがなく、難工事の迫力からするとあくまで添え物程度としか思われません。

工事の大事なところについては物語とは別に解説が随時入りますので、分かりやすくなっています。

工事では犠牲者を出さないようにと映画の中でも言われていますが、実際には百人を超える人たちがこの工事で亡くなりました。私たちはこうした犠牲者により築かれたインフラに支えられて生きているのであり、そのことを忘れてはならないと思います。
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