ぴよまろ

イングロリアス・バスターズのぴよまろのレビュー・感想・評価

3.6
クエンティン・タランティーノ作品。第二次世界大戦中のドイツ占領下のフランスを舞台に、ドイツ指導者の暗殺を企てる連合軍の秘密部隊、そして家族をナチスに殺されたユダヤ系の女性映画館オーナーによる、ナチスへの復讐サスペンス(実態はスパイものっぽい)。

良くも悪くも、全開のタランティーノ作品でした。長い作品だし、ほとんど会話劇なのに、それでも緊張と期待が持続するのはさすが。さらには、史実よりも面白ければフィクション上等、とばかりに、面白さを最優先にしたエンタメ的な作りは、出来そうで出来ない。

1章目をはじめ、終始、バレるかバレないかの会話劇が最高でした。緊張感とユーモアが混ざり合って、最後の瞬間まで期待させてくれるのが素晴らしいです。そしてやはりランダ大佐の話のセンスと、例え話しかしていないのに、いつの間にか追い詰めていく会話が魅力的。憎むべき敵なのに、ついつい聞き入ってしまいました。

少し残念なのは、群像劇っぽい作りなのに、バスターズ側と映画館オーナー側の物語が交わりそうで交わらないところ。どちらの物語も描写が足りず、登場人物の深堀りがないので、結果、最も魅力的なのは敵側のランダ大佐という笑。要素が多すぎるがゆえに、バランスが悪くなってしまったように思いました。(それでもエンタメとしての面白さをキープしているのはさすが。)

緊張しっぱなしの会話と、その果てにあるバイオレンスという、タランティーノ作品らしいサスペンス作品でした。
ぴよまろ

ぴよまろ